『ヘンな日本美術史』:現役画家・山口晃が語る、教科書には載らない日本絵画の見方

『ヘンな日本美術史』:現役画家・山口晃が語る、教科書には載らない日本絵画の見方

鳥獣戯画はなぜ上手いのか、洛中洛外図の「ヘンさ」とは。現代美術家・山口晃が絵描きの実感で語る日本美術論。小林秀雄賞を受賞した、抱腹絶倒かつ本質的な美術史です。

はじめに:描く人にしか見えないものがある

『ヘンな日本美術史』(山口晃 著)は、大和絵と洋画を融合した超絶技巧で知られる現代美術家が、日本の古い絵画を「絵描きの目」で語り下ろした美術論です。鳥獣戯画、洛中洛外図、雪舟、光琳、そして河鍋暁斎。学者とはまったく違う切り口の語りが痛快で、小林秀雄賞を受賞しました。

この本の3つの見どころ(読みどころ)

1. 「上手い」「ヘン」の実技的分析

この線は速い、ここは描き直している、この省略は天才にしかできない——。実際に筆を持つ人だから言える具体的な指摘の連続で、絵の見方が根本から変わります。

2. 遠近法をめぐる日本絵画の「発明」

西洋の透視図法とは別の空間表現(吹抜屋台、洛中洛外図の視点の飛翔)を、欠陥ではなく積極的な発明として読み解く視点は、日本美術への誇りを取り戻させてくれます。

3. 語り口の面白さ

脱線と自虐を交えた講義調の文章はほとんど落語で、笑いながら読むうちに美術史の本質的な問いに連れて行かれます。

この本を読んだ後の、おすすめのアクション

日本の古画を「実技目線」で見る: 博物館で絵巻や屏風を見るとき、「自分がこれを描くとしたら」と想像してみてください。筆の速度や迷いが見えてきたら、山口流鑑賞の入口です。

まとめ

『ヘンな日本美術史』は、日本美術を「勉強」から「快楽」に変えてくれる一冊です。教科書的な美術史に飽きた人にこそ効きます。