八戸市美術館:巨大な「ジャイアントルーム」が生んだ、まちとつくる美術館

八戸市美術館:巨大な「ジャイアントルーム」が生んだ、まちとつくる美術館

美術館

2021年に生まれ変わった八戸市美術館。天井高14mの「ジャイアントルーム」を中心に、展示だけでなく制作や学びの活動が同居する、新しい世代の美術館像を示しています。

はじめに:「アートファーム」を掲げる新世代の美術館

八戸市美術館は、2021年(令和3年)11月3日に新築リニューアルオープンした青森県八戸市の美術館です。前身の美術館は1986年に開館し、2017年に閉館。4年半あまりの空白を経て、まったく新しい建物と理念をまとって生まれ変わりました。掲げるコンセプトは「出会いと学びのアートファーム」。「種を蒔き、人を育み、100年後の八戸を創造する美術館」というスローガンのもと、作品を見せるだけでなく人を育て、まちを耕す美術館を目指し、展示・制作・対話が同じ空間で進行する運営スタイルが、全国の美術館関係者から注目を集めています。

建築:ジャイアントルームという発明

設計は西澤徹夫・浅子佳英・森純平の設計共同体。鉄骨造3階建て、延床面積約4,845平方メートルの建物の中心には、巨大な吹き抜け空間「ジャイアントルーム」が据えられています。ここは展示室でもロビーでもワークショップ会場でもある「何でも起こる広場」で、可動する間仕切りや家具によって日々姿を変えます。その周囲を、展示室やスタジオなど専門的な機能をもつ「個室群」が取り囲むという構成です。作品を守るための静かな箱と、人が集まって騒がしく手を動かす場所とを、切り離さずに同じ屋根の下へ収めた点が新しく、従来の「ホワイトキューブ」とはまったく違う美術館のかたちとして建築界でも高く評価されました。

3つの見どころ

ジャイアントルーム

訪れるたびに使われ方が変わる巨大空間です。市民の制作活動と展覧会が同居する風景そのものが見どころで、「今日は何をしているのだろう」と覗きに行きたくなります。

郷土ゆかりのコレクション

約3,000点の収蔵品は、八戸・青森にゆかりのある作家と、昭和30~50年代に八戸で盛んだった教育版画が柱です。豊島弘尚「墓獅子舞A」、戸村茂樹「森・光と陰とⅡ」、七尾英鳳「湖上月影」のほか、棟方志功や舟越保武の作品も収めています。子どもたちが学校で刷った版画を美術館が体系的に収集しているという点は全国的にも珍しく、地域の記憶を作品として残すという姿勢がよく表れています。

中心街との連携

美術館は八戸の中心街に位置し、横丁やブックセンターなど、まちを巻き込んだアートプロジェクトが盛んです。館を出てそのまま街歩きへ流れていける立地も魅力です。

施設情報・アクセス

住所: 〒031-0031 青森県八戸市大字番町10-4

アクセス: JR八戸線「本八戸」駅から徒歩約10分。専用駐車場はなく、近隣の有料駐車場を利用します

開館時間: 10:00~19:00

休館日: 火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始

観覧料: 展覧会ごとに異なります