大分市美術館:上野の森の緑に囲まれた、田能村竹田と大分ゆかりの美術

大分市美術館:上野の森の緑に囲まれた、田能村竹田と大分ゆかりの美術

美術館

大分市中心部の上野丘に1999年開館。江戸後期の文人画家・田能村竹田の作品を核に、大分ゆかりの美術家たちの作品を紹介する、緑豊かな環境が魅力の市立美術館。

はじめに:上野の森に抱かれた、大分の美の拠点

大分市美術館は、大分市街地を見下ろす上野丘の緑豊かな環境に、1999年(平成11年)に開館した市立美術館です。設計は内井昭蔵建築設計事務所。周囲は「上野の森」と呼ばれる高台の公園地区で、館へ向かう坂を登るにつれて市街の喧噪が遠ざかっていきます。豊後(大分県)を代表する江戸後期の文人画家・田能村竹田の作品を核に、近代以降に大分にゆかりのある美術家たちの作品まで、約3,000点を収集・紹介しており、郷土の美術史を一本の線としてたどれる構成になっています。

時代背景:豊後南画の系譜を今に伝える

田能村竹田は、岡藩(現・竹田市)の藩医の家に生まれ、儒学と絵画を修めた文人画家です。中国の南宗画に学びながらも、詩・書・画を一体とした独自の詩情豊かな作風を確立し、頼山陽ら同時代の文人と深く交わりました。当館が収蔵する「田能村竹田関係資料」(帆足家伝来)は絵画22点・書跡3点からなる国の重要文化財で、竹田研究の基礎となる一群です。彼を中心に育まれた「豊後南画」と呼ばれる潮流は、大分の美術史における重要な系譜であり、当館はこの豊かな伝統と、その後に続く大分ゆかりの美術家たちの仕事を橋渡しする役割を担っています。

3つの見どころ

田能村竹田と豊後南画

重要文化財を含む竹田の作品を中心に、江戸期の文人画の魅力を紹介しています。ゆったりとした筆の運びと余白の取り方、画面に添えられた漢詩の書。絵を「描く」よりも「詠む」に近い文人画の世界は、一見地味ながら、腰を据えて眺めるほどに味わいが増します。

大分ゆかりの近現代美術

日本画の髙山辰雄と福田平八郎、洋画の佐藤敬、竹工芸の生野祥雲斎、さらに吉村益信や赤瀬川原平といったネオ・ダダの作家まで。福田平八郎は雨に濡れた屋根瓦や水面のさざなみといった身近な情景を大胆に単純化した画家、髙山辰雄は人間の存在そのものを静かに見つめ続けた画家で、ともに大分市の出身です。江戸の文人画から戦後の前衛まで、ひとつの地域の美術がどう受け継がれ、変わっていったのかを一館でたどれるのは、市立美術館ならではの強みです。

上野の森の自然環境

緑豊かな上野丘の高台に位置し、周辺には散策路が整っています。市街地から坂をひとつ登るだけで空気が変わり、鑑賞の前後に森を歩く時間まで含めて楽しめる立地です。教会建築や住宅で知られる内井昭蔵が手がけた館は、延床面積約9,000平方メートルの落ち着いた低層の構えで、丘の地形と森の緑によく馴染んでいます。

施設情報・アクセス

住所: 〒870-0835 大分県大分市大字上野865

アクセス: JR「大分駅」上野の森口(南口)から「大分きゃんバス」で約7分、「大分市美術館」下車

開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)

休館日: 月曜日(祝日・休日の場合は翌日、第1月曜は開館し翌火曜休館)、年末年始

観覧料: コレクション展 一般440円、高校生等220円、中学生以下無料(特別展は別料金)