佐賀県立九州陶磁文化館:有田焼の里に集う、九州陶磁400年の歩み
日本の磁器発祥の地・有田に1980年開館。有田・伊万里・唐津など九州各地の陶磁器を体系的に紹介し、精緻な文様が魅力の柴田夫妻コレクションでも知られる、東洋屈指の陶磁専門館。
はじめに:日本磁器発祥の地に建つ、陶磁専門の文化施設
佐賀県立九州陶磁文化館は、日本で初めて磁器が焼かれた地とされる有田町に、1980年(昭和55年)に開館した美術館です。有田焼・伊万里焼・唐津焼・薩摩焼など、九州各地で育まれてきた陶磁器の歴史と魅力を、江戸期から現代まで体系的に紹介しており、東洋の陶磁専門館としては国内屈指の規模を誇ります。常設展示は「有田焼の歴史」「日本磁器の誕生」「日本磁器の完成」「暮らしを彩る」「有田焼のデザイン」といったテーマで構成され、しかも常設展の観覧は無料。やきものの入門から専門的な鑑賞まで、幅広く応えてくれる施設です。
時代背景:朝鮮出兵がもたらした、日本磁器誕生の物語
有田における磁器生産は、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に連れてこられた朝鮮人陶工・李参平が、泉山で良質な陶石を発見したことに始まるとされています。17世紀初頭のことでした。以来400年にわたり、有田・伊万里の磁器は長崎の出島を経由してヨーロッパにも輸出され、「IMARI」の名で王侯貴族に愛されてきました。柿右衛門様式や金襴手の華やかな器は、マイセンをはじめとする西洋磁器の手本にもなっています。当館はこの長い歴史を、出土資料から名品までを通して体系的に伝える拠点として設立されました。
3つの見どころ
柴田夫妻コレクション: 実業家・柴田明彦夫妻が蒐集し寄贈した、江戸期の有田磁器10,311点にのぼる一大コレクションです。2006年には国の登録有形文化財(美術工芸品)に登録されました。館内では約1,000点が常時展示され、器の形や文様の変遷を圧倒的な物量で追うことができます。
九州陶磁の通史展示: 有田・伊万里・唐津・薩摩など、九州各地の陶磁器の特色を比較しながら学べる構成です。重要文化財のほか、蒲原コレクションや高取家コレクション、青木龍山・中里逢庵といった現代作家の作品も収蔵しています。屋外に据えられた磁器製のからくり時計は、25個のマイセン磁器の鐘が毎正時に音色を響かせます。
有田の窯元散策: 周辺には現在も多くの窯元やギャラリーが点在し、やきものの町を巡る旅と組み合わせられます。毎年ゴールデンウィークに開かれる有田陶器市の時期はとくに賑わいます。
施設情報・アクセス
住所: 〒844-8585 佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
アクセス: JR佐世保線「有田駅」より車で約7分
開館時間: 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日: 月曜日(祝日・休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
観覧料: 常設展は無料。特別企画展のみ有料です。