エドワード・バーン=ジョーンズ:眠れる騎士と黄金の階段、夢の中世を描いたラファエル前派の後継者
中世の伝説、眠る騎士、うつむく乙女たち。バーン=ジョーンズの絵は現実から遠く離れた「夢の王国」です。盟友ウィリアム・モリスと歩んだその美は、アール・ヌーヴォーの母となりました。
はじめに:夢見ることを職業にした画家
エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1898)は、イギリスの画家です。オックスフォードで生涯の盟友ウィリアム・モリスと出会い、ロセッティに師事して画家となりました。産業革命の醜さから背を向け、アーサー王伝説や神話の「あったかもしれない中世」を描き続けた、ラファエル前派第二世代の中心人物です。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 「黄金の階段」——意味のない美しさ
白い衣の乙女たちが楽器を手に、螺旋階段を静かに降りてくる——物語も寓意もなく、ただ律動と調和だけがある画面は、「芸術のための芸術」の宣言です。音楽のような絵画、という理想がここにあります。
2. 「コフェチュア王と乞食娘」——愛による身分の超越
王が乞食の娘の前に膝をつき、王冠を膝に置いて見上げる——精緻な鎧と青銅の質感、憂いを帯びた表情。ヴィクトリア朝絵画の到達点として、パリ万博でも絶賛されました。
3. モリスとの共同作業——絵画から工芸へ
バーン=ジョーンズはモリス商会のためにステンドグラス、タペストリー、書籍挿絵の下絵を大量に手がけました。ケルムスコット・プレスの『チョーサー著作集』は「世界で最も美しい本」と呼ばれます。当サイトのアーツ・アンド・クラフツ運動の記事とあわせてどうぞ。
初心者が楽しむための鑑賞のコツ
- 「眠り」を数える: バーン=ジョーンズの人物はよく眠り、目を伏せています。覚醒を拒む世界——その意味を考えると時代が見えます。
- 装飾芸術として見る: 人物の並びをタペストリーの文様として眺めると、工芸家としての設計眼がわかります。
まとめ
バーン=ジョーンズは、「逃避」を最高の芸術に磨き上げた画家です。疲れた日に効く美術、として現代でも処方したい世界です。
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作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)