ジャック=ルイ・ダヴィッド:革命とナポレオンの時代を描いた、新古典主義の巨匠

ジャック=ルイ・ダヴィッド:革命とナポレオンの時代を描いた、新古典主義の巨匠

画家

フランス革命では急進派として断頭台にも関わり、その後はナポレオンの首席画家として権力を描き続けたジャック=ルイ・ダヴィッド。「マラーの死」に見る、政治と芸術が分かちがたく結びついた生涯。

はじめに:時代の権力者を描き続けた「政治の画家」

ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825)は、フランス新古典主義を代表する画家です。ロココ様式の華美な装飾性に反発し、古代ギリシャ・ローマの彫刻を思わせる明快な輪郭と道徳的な主題を重んじる画風を確立しました。単なる様式上の革新者にとどまらず、フランス革命からナポレオン帝政期に至る激動の政治にも深く関わり、時の権力者を描き続けた稀有な画家です。

生涯:革命家から、皇帝の首席画家へ

パリの裕福な家庭に生まれたダヴィッドは、ローマ賞を獲得してイタリアに留学し、古代美術を徹底的に研究しました。1789年のフランス革命勃発後は急進的なジャコバン派の一員として国民公会議員を務め、ルイ16世の処刑にも賛成票を投じています。盟友であった革命家マラーが暗殺されると、その死を悼んで「マラーの死」を制作しました。ロベスピエール失脚後に投獄されますが釈放され、その後は権力を握ったナポレオン・ボナパルトに接近。「皇帝首席画家」として戴冠式などの記念碑的作品を手がけました。ナポレオン失脚後はブリュッセルへ亡命し、1825年に77歳で客死しています。

3つの代表作解説

  • マラーの死(ベルギー王立美術館、ブリュッセル): 暗殺された革命家ジャン=ポール・マラーを、殉教者のように崇高に描いた作品。新古典主義絵画の頂点の一つとされています。
  • ナポレオンの戴冠式(ルーヴル美術館、パリ): ナポレオンの皇帝戴冠式を描いた巨大な記念画。縦約6メートル、横約9メートルにおよぶ大作で、200人以上の人物が描き込まれています。
  • ホラティウス兄弟の誓い(ルーヴル美術館、パリ): 古代ローマの故事を題材に、国家への忠誠と自己犠牲を称えた作品。革命前夜のフランスで、新古典主義様式の確立を告げる記念碑的作品となりました。