シュザンヌ・ヴァラドン:モデルから画家へ、モンマルトルを生き抜いた「青い部屋」の反逆者
ルノワールやロートレックのモデルを務めながら独学で絵を学び、ドガに見出されて画家となったヴァラドン。緑の縞のパジャマで煙草をくわえる「青い部屋」は、女性像の常識を覆しました。
はじめに:描かれる側から、描く側へ
シュザンヌ・ヴァラドン(1865-1938)は、フランスの画家です。洗濯女の私生児としてモンマルトルに育ち、サーカス芸人を経て、ルノワール「ブージヴァルのダンス」やシャヴァンヌの壁画のモデルとなりました。画家たちの仕事を「見て盗んで」独学し、ドガにデッサンを認められて画家として自立。画家モーリス・ユトリロの母でもあります。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 「青い部屋」——理想化ゼロの女性像
縞のパジャマ姿でベッドに寝そべり、煙草をくわえ、足元に本を置く女性。男性画家たちが描き続けた「横たわる裸婦」の伝統を、生活者のリアルな身体で上書きした痛快な一枚です(ポンピドゥー・センター蔵)。
2. 強靭な輪郭線——ドガが愛したデッサン
ヴァラドンの人体は、太く迷いのない輪郭線で括られます。「彼女のデッサンは我々の誰より強い」とドガに言わしめた線は、モデル時代に画家たちの背中から盗み取った技術でした。
3. 息子ユトリロとの二人三脚
アルコールに苦しむ息子に絵を勧め、白の時代の傑作群を支えたのは母ヴァラドンでした。母子で並ぶ展覧会も多く、モンマルトルの美術史はこの家族抜きに語れません。
初心者が楽しむための鑑賞のコツ
- モデル時代の絵と往復する: ルノワールが描いた「彼女」と、彼女が描いた女性たち。視線の主が代わると絵がどう変わるか、最高の教材です。
- ユトリロの記事とセットで: 当サイトのユトリロの記事とあわせて読むと、モンマルトルの物語が完成します。
まとめ
ヴァラドンは、パリの画壇の「視線の非対称」を実力でひっくり返した画家です。その人生ごと、一級の物語です。
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作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)