『モチーフで読む美術史』:犬は忠誠、鏡は虚栄。絵の中の「持ち物」から名画を解読する

『モチーフで読む美術史』:犬は忠誠、鏡は虚栄。絵の中の「持ち物」から名画を解読する

美術史家・宮下規久朗による『モチーフで読む美術史』は、絵画に描かれた犬・鏡・果物などのモチーフが持つ意味を解説する文庫サイズの美術入門。「何が描かれているか」から絵を読む楽しさを教えてくれます。

はじめに:名画は「絵解き」するともっと面白い

『モチーフで読む美術史』は、美術史家・宮下規久朗による美術入門書です(2013年、ちくま文庫)。西洋絵画や日本美術に描かれた犬、猫、鏡、果物、髑髏(どくろ)といった身近なモチーフを取り上げ、それぞれが絵の中で担ってきた意味や象徴を、豊富な図版とともに解説していきます。「構図」や「様式」ではなく「描かれたモノ」から美術史に入るという切り口が新鮮で、シリーズ化もされた人気作です。

この本の3つの見どころ(読みどころ)

1. モチーフの意味を知ると、絵が「読める」ようになる

たとえば犬は忠誠や結婚の誓いの象徴として夫婦の肖像画に描かれ、鏡は虚栄の戒めとして、髑髏は「死を想え(メメント・モリ)」のメッセージとして描かれてきました。この約束事を知るだけで、名画が雄弁に語りかけてくるようになります。

2. 1項目数ページ、どこから読んでもいい構成

モチーフごとの短い章立てなので、辞典のように気になるところから拾い読みできます。美術館に行く前の予習にも、行った後の復習にも使い勝手が抜群です。

3. 西洋と日本を横断する視点

同じモチーフが西洋絵画と日本美術でどう扱われてきたかを比較する視点も本書の魅力。文化によって意味が変わる面白さに気づかせてくれます。

この本を読んだ後の、おすすめのアクション

美術館で「持ち物探し」をしてみる: 次に美術館を訪れたら、絵の中の動物や小道具を探して「これは何の象徴だろう?」と考えてみてください。宗教画や静物画が、謎解きの舞台に変わります。

まとめ

『モチーフで読む美術史』は、名画鑑賞を「眺める」から「読み解く」へ変えてくれる一冊です。文庫サイズなので、美術館へのお供にもぴったりです。