中之条ビエンナーレ:群馬の温泉街と山里に、2年に一度アートが灯る芸術祭
群馬県中之条町で2007年から奇数年に開催されている中之条ビエンナーレ。四万温泉や伊参の廃校など、温泉と山里の暮らしが息づく町全体を舞台に、滞在制作されたアートと出会える芸術祭です。
はじめに:温泉と山里の町が、まるごと美術館になる
中之条ビエンナーレは、群馬県吾妻郡中之条町で2007年から2年に一度、奇数年に開催されている国際現代芸術祭です。四万温泉や沢渡温泉といった名湯を抱える温泉の町、そして養蚕や農業とともに歩んできた山里の集落が、会期中はまるごとアートの舞台に変わります。
始まりは、過疎と高齢化が進む町で、使われなくなった建物と人の縁をどうつなぎ直すかという問いでした。町と実行委員会・運営委員会が手を組み、廃校や空き家を一つずつ会場として開いていく地道な積み重ねによって、今では町内5つのエリアに広がる規模にまで育ち、直近の2025年は約55か所で展示が行われました(2027年は30か所程度を予定)。2027年のテーマは「ECHOING GREEN 響きわたる草原」です。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 廃校や古民家など、暮らしの記憶が残る会場
会場となるのは、木造校舎や古民家、蔵、温泉街の空き店舗など、町の暮らしの記憶が染み込んだ場所ばかりです。なかでも伊参エリアの旧第四中学校を活用した伊参スタジオは、映画のロケ地としても使われてきた木造校舎で、廊下や教室の空気そのものが作品の一部になります。ホワイトキューブの美術館では味わえない鑑賞体験が生まれる理由がここにあります。
2. アーティストの滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス)
参加作家の多くが会期前から中之条に滞在し、土地の風土や人々との交流から作品を立ち上げていくのがこの芸術祭の特徴です。地域の人が制作を手伝い、会期中は受付に立つ。地域とアーティストの関係の近さは、国内の芸術祭の中でも際立っています。
3. アートの後は温泉でひと休み
エリア間の移動の途中には四万温泉や沢渡温泉が待っています。四万温泉は国民保養温泉地の第1号に指定された歴史ある湯治場で、木造建築の湯宿が渓流沿いに連なります。作品鑑賞と湯めぐりをセットで楽しめるのは、温泉町の芸術祭ならではの贅沢です。
鑑賞のコツ
会場は町内5エリアに分かれ、エリア間は車で20分から40分ほど離れています。1日で回りきるのは難しいので、温泉に一泊して2日かけるのが現実的です。おすすめは、初日に中之条市街地と伊参、翌日に四万温泉と沢渡・六合という配分。山間部は日が落ちるのが早く、会場も夕方には閉まるため、朝から動き出すのが鉄則です。
開催概要
- 開催地: 群馬県吾妻郡中之条町の町内各所(5エリア・約30会場)
- 主な会場: 中之条市街地、伊参(伊参スタジオほか)、四万温泉。ほかに沢渡暮坂、六合の各エリア
- 開催ペース: 2年に1度(奇数年)
- 開催時期: 例年秋。次回は2027年9月18日から10月24日までの37日間で、テーマは「ECHOING GREEN 響きわたる草原」です
- アクセス: 上野駅から特急草津・四万で中之条駅まで約2時間。車なら関越自動車道「渋川伊香保インターチェンジ」から約40分。東京駅・新宿駅からの高速バスは約3時間です
- 主催: 中之条町、中之条ビエンナーレ実行委員会、中之条ビエンナーレ運営委員会
まとめ
中之条ビエンナーレは、温泉と里山の暮らしにアートが寄り添う、あたたかな空気の芸術祭です。紅葉の山々と湯けむり、そしてアートを一度に味わう旅に出かけてみてください。
あわせて巡りたい、群馬のアートスポット
中之条ビエンナーレとあわせて楽しみたいのが、群馬県内のアートスポットです。渋川市の伊香保温泉近くには、磯崎新設計の黒いパビリオンが山並みに映える原美術館ARCがあり、現代アートと古美術を一度に楽しめます。高崎市には、モダニズム建築の傑作として名高い磯崎新設計の群馬県立近代美術館も。いずれも中之条から車で1時間圏内です。温泉・山里・アートを組み合わせた1泊2日の群馬アート旅は、中之条ビエンナーレの開催年ならずとも楽しめるコースです。
