ベルリン・ビエンナーレ:使われなくなった建物が展示室に変わる実験場

ベルリン・ビエンナーレ:使われなくなった建物が展示室に変わる実験場

芸術祭
開催時期おおむね2年に1度おおむね2年に1度。第13回は2025年6月14日〜9月14日で閉幕。第14回は2027年夏の予定で、会期は未発表

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1998年に第1回が開かれたドイツの現代美術ビエンナーレ。KWインスティテュートが運営し、美術館だけでなく旧裁判所などもそのまま会場に変えてしまいます。第13回は2025年に開催され、第14回は2027年夏の予定です。

はじめに:都市そのものを問い直すビエンナーレ

ベルリン・ビエンナーレは、ドイツの首都ベルリンでおおむね2年に1度開かれる現代美術の国際展です。1996年3月26日、KWインスティテュート・フォー・コンテンポラリー・アートの創設ディレクターだったクラウス・ビーゼンバッハと、美術のコレクターや支援者たちによって設立されました。運営はKUNST-WERKE BERLIN e.V.が担い、ドイツ連邦文化財団の助成を受けています。若い作家や、まだ知られていない実践を世に出す場として知られてきました。

第1回「Berlin/Berlin」は1998年9月30日から12月30日まで開かれ、ビーゼンバッハに加えてハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ナンシー・スペクターの3人がキュレーションを担当しました。会場はKWインスティテュートのほか、芸術アカデミー、世界文化の家、ミッテ地区の旧郵便局。壁の崩壊から10年に満たない時期のベルリンを、懐古でも未来礼賛でもない視点でとらえようとした展覧会でした。空き建物を展示空間として使う流儀は、この第1回からすでに始まっていたことになります。

絶対に知っておきたい!3つの見どころ

1. 回ごとにキュレーターが替わる

国際的な選考委員会が回ごとにキュレーターを選び、その人の問題意識がそのまま展覧会の骨格になります。第13回(2025年)を手がけたのはザシャ・コラー。法にもとづく暴力を前にして、作品が自らの法をつくり出す力を意味する「fugitivity(逃走性)」という概念を軸に構成しました。第14回(2027年)のキュレーターには、東欧のポスト・ソビエト状況を長く扱ってきたヴァシル・チェレパニンが選ばれています。

2. 美術館の外まで広がる会場

第13回の会場は、KWインスティテュート、ゾフィーエンゼーレ、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館、そしてベルリン・モアビット地区の旧裁判所という4か所でした。役目を終えた建物を展示空間に変えるのは、このビエンナーレの得意技です。作品と一緒に、ベルリンという都市の記憶のなかを歩くことになります。KWインスティテュートはミッテ地区のアウグスト通りにあり、周辺にはギャラリーが集まっているため、会場めぐりがそのまま街歩きになります。

3. タイトルに刻まれた時代の空気

第9回「The Present in Drag」、第10回「We Don't Need Another Hero」、第11回「The Crack Begins Within」、第12回「Still Present」。歴代のタイトルを並べるだけで、その時々の政治や社会の緊張が伝わってきます。作品を見る前に過去のタイトルを追ってみると、このビエンナーレの姿勢がよくわかります。公式サイトには過去のキュレーター、参加作家、会場の記録がまとめられており、予習にも復習にも使えます。

開催概要

  • 開催地:ドイツ・ベルリン市内各所(ミッテ地区、モアビット地区ほか)
  • 主な会場:KWインスティテュート・フォー・コンテンポラリー・アート/ハンブルガー・バーンホフ現代美術館/ゾフィーエンゼーレ
  • 開催ペース:おおむね2年に1度(第12回2022年、第13回2025年と3年空き、第14回は2027年)
  • 開催時期:第13回は2025年6月14日から9月14日。第14回は2027年夏に開催予定
  • アクセス:KWインスティテュートはSバーンのオラニエンブルガー通り駅やUバーンのローゼンターラー広場駅から徒歩圏。ハンブルガー・バーンホフはベルリン中央駅から徒歩10分ほどです
  • 主催:KUNST-WERKE BERLIN e.V.(ドイツ連邦文化財団助成)

まとめ

大御所の名前を並べるのではなく、これから重要になる実践を先に見せる。ベルリン・ビエンナーレはそういう役割を引き受けてきた国際展です。会期を外して訪れても、KWインスティテュートは通年で企画展を開いていますし、ハンブルガー・バーンホフには現代美術のコレクションが並びます。ドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレとあわせて追いかけると、ヨーロッパの現代美術の現在地がぐっと見えやすくなります。