東川町国際写真フェスティバル:「写真の町」が40年続ける夏の写真祭
北海道東川町が1985年の「写真の町」宣言とともに始めた写真祭。毎年夏、写真賞「東川賞」の授賞式と受賞作家の作品展を中心に、町じゅうが写真の会場になります。2026年で第42回。国内屈指の歴史をもつ写真の祭典です。
はじめに:町ぐるみで写真を迎える、40年続く夏
東川町国際写真フェスティバルは、北海道上川郡東川町で1985年から毎年開かれている写真の祭典です。大雪山のふもとにあるこの町が、1985年6月1日に全国で初めて「写真の町」を宣言したことを機に始まり、2026年で第42回を数えました。観光客の減少に悩んでいた町が、特産品ではなく「文化」に目をつけて打ち出した施策で、当時としてはきわめて異例の選択でした。中心にあるのは写真賞「東川賞」。自治体が創設した国内初の写真作家賞で、その授賞式と受賞作家の作品展を軸に、フォーラムやポートフォリオレビュー、ワークショップ、屋外写真展などが組まれます。会期中は町の施設や通りが次々と展示の場に変わり、まさに町全体が写真会場になります。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 5つの部門をもつ「東川賞」
東川賞には海外作家賞、国内作家賞、新人作家賞、特別作家賞、そして町の暮らしを撮り続けた人物にちなむ飛彈野数右衛門賞があります。第1回(1985年)の受賞者は、国内作家賞が須田一政と田原桂一、海外作家賞がジョエル・スターンフェルド。以来、写真史に名を残す作家が並んできました。第42回(2026年)は、海外作家賞にマルティナ・ホーグランド・イヴァノヴ、国内作家賞に伊奈英次、新人作家賞に林典子、特別作家賞に中西敏貴、飛彈野数右衛門賞に田川基成が選ばれています。国内外の作家を同じ賞のもとで並べて見せる構成なので、いまの写真表現がどこへ向かっているのかを一度に確かめられます。
2. 町のあちこちが展示会場になる
主な会場は東川町文化ギャラリー、せんとぴゅあII、東川町農村環境改善センター、そして屋外に写真を掲げる東川フォトストリートなど。せんとぴゅあは旧東川小学校の校舎を改修したIと、隣に建てられたIIからなる複合交流施設で、図書や展示のスペースが一体になっています。展示によっては7月中旬から始まるものや、翌年春まで続くものもあり、フェスティバル期間の前後にも写真が町に残りつづけます。
3. 作家と直接話せる距離感
受賞作家フォーラムやポートフォリオレビュー、各種ワークショップが用意されていて、写真を撮る人にとっては作家や審査に関わる人と直接言葉を交わせる貴重な機会になります。大都市の大規模フェスティバルにはない、顔の見える距離感がこの町ならではです。東川町は上水道を敷かず、大雪山の地下水で暮らしをまかなっている町でもあります。その水と、大雪山の眺めと、写真。滞在そのものが土地の体験になり、撮る人にとっては被写体にも事欠きません。
開催概要
- 開催地: 北海道上川郡東川町
- 主な会場: 東川町文化ギャラリー、せんとぴゅあII、東川町農村環境改善センター(ほか屋外の東川フォトストリート)
- 開催ペース: 毎年(1985年開始)
- 開催時期: 夏。2026年(第42回)は8月1日に授賞式、受賞作家作品展は8月1日から8月31日まで。一部の展示は7月中旬から実施
- アクセス: 最寄りは旭川空港。旭川市の中心部から車で約30分です
- 主催: 東川町
まとめ
「写真の町」を名乗り、40年にわたって毎年欠かさず続けてきたという事実そのものが、この写真祭のいちばんの見どころかもしれません。大雪山の眺めと、町のあちこちに散らばる写真展。授賞式のある8月上旬は一年でもっとも賑わいますが、受賞作家作品展は8月いっぱい開かれているので、混雑を避けてゆっくり見たい人は下旬を狙う手もあります。町の中心部は歩いて回れる広さですが、屋外展示や周辺の会場まで含めるなら車があると安心です。夏の北海道旅行の目的地として、写真好きなら一度は訪れておきたい場所です。
