リヨン・ビエンナーレ:巨大な産業遺構が舞台になる、フランスの国際展

リヨン・ビエンナーレ:巨大な産業遺構が舞台になる、フランスの国際展

芸術祭
開催時期2年に1度(現代アート部門)第18回は2026年9月19日〜12月13日。プレビューは9月17日・18日

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フランス・リヨンで2年に1度開かれる現代アートの国際展。第18回は2026年9月19日から12月13日まで、旧鉄道車両工場グラン・ロコなど4つの主要会場(ほか無料会場7か所)に、42の国と地域から118組の作家が集まります。テーマは旧市街の路地「トラブール」。

はじめに:路地の街から立ち上がる国際展

リヨン・ビエンナーレは、フランス第2の都市リヨンで2年に1度開かれる現代アートの国際展です。創設は1991年。リヨン現代美術館(macLYON)の初代館長ティエリー・ラスパイユと、ティエリー・プラの二人が立ち上げました。現代美術のビエンナーレをパリの外に置こうという地方分権の流れのなかで、リヨン市とフランス文化省の後押しを受けて始まった経緯があります。

運営するビエンナーレ・ド・リヨン協会は、現代アートのビエンナーレとダンスのビエンナーレを交互に開いており、この街には隔年で性格の異なる大型の芸術祭が訪れます。ダンス部門の規模も大きく、直近の第21回では57の会場で133公演が行われ、25万2千人を超える観客を集めました。現代アート部門は2026年で第18回。アーティスティック・ディレクターはイザベル・ベルトロッティが務め、第18回のキュレーターにはカトリーヌ・ニコルズが起用されました。

絶対に知っておきたい!3つの見どころ

1. 「トラブール」から生まれたテーマ

第18回のタイトルは「Passer d'un rêve à l'autre(ある夢から別の夢へ)」。出発点になったのは、リヨン旧市街に張り巡らされた通り抜け路地「トラブール」です。建物と建物のあいだをすり抜けていくこの構造を手がかりに、思想や物語、資源やイメージがどのように循環し、現代社会を形づくっているのかを問います。ヴァルター・ベンヤミンやロベール・フィリウの発想も参照されています。

2. 性格の違う3つの会場

主要な有料会場はレ・グランド・ロコ、織物美術館、macLYON、現代美術研究所(IAC、ヴィルールバンヌ)の4か所。ほかにコンフリュアンス博物館やクロワ・ルースのトラブールなど無料の会場が7か所あり、計11会場。それぞれ「産業」「関係」「実存」という異なる次元を担い、同じテーマを別の角度から見せる構成になっています。とりわけレ・グランド・ロコのような巨大な産業遺構を丸ごと使う展示は、この芸術祭の代名詞といえます。この会場はラ・ミュラティエールにある旧SNCFの車両工場で、1846年に置かれた工場群を起源に170年ものあいだ機関車の整備を担ってきた場所です。5万平方メートルに及ぶ敷地が2024年から文化施設として使われるようになり、第17回(2024年9月21日〜2025年1月5日)から芸術祭の舞台になりました。それ以前は、コンフリュアンス地区の旧砂糖倉庫ラ・シュクリエールや、ジェルランの旧ファゴール・ブラント工場が主会場を務めていました。

3. 42の国と地域から118組

第18回には42の国と地域から118組の作家が参加します。ヨーロッパの現代アートの潮流をまとめて確かめられる規模でありながら、主要会場が4か所にまとまっているため(ほかに無料の会場が7か所)、数日あれば全体を見て回れるのも魅力です。広い地域に会場が散らばる日本の芸術祭に比べ、移動の負担が小さいのはありがたいところ。プレビューは9月17日と18日に予定されています。

開催概要

  • 開催地:フランス・リヨンおよび近郊のラ・ミュラティエール
  • 主な会場:レ・グランド・ロコ(旧鉄道車両工場)/織物美術館/リヨン現代美術館(macLYON)
  • 開催ペース:2年に1度(現代アート部門。あいだの年はダンス・ビエンナーレ)
  • 開催時期:第18回は2026年9月19日から12月13日。プレビューは9月17日・18日
  • アクセス:パリからTGVで約2時間。リヨン・パールデュー駅などから市内交通で各会場へ。macLYONは市北部のシテ・アンテルナシオナル、織物美術館は2区の中心部にあります
  • 主催:ビエンナーレ・ド・リヨン協会

まとめ

使われなくなった巨大な工場に、世界中から集まった作品が並ぶ。リヨン・ビエンナーレの写真を一度でも見たことがある人なら、あの空間の迫力は忘れられないはずです。会期は9月から12月までと長く、旅程を組みやすいのも利点。会期を外して訪れる場合でも、macLYONは通常の美術館として企画展を開いているので、リヨンの現代美術に触れることはできます。美食の街としても知られるリヨンなので、食事を目当てに滞在を延ばす価値もあります。秋のヨーロッパ旅行を考えているなら、同じ年に開かれるヴェネチア・ビエンナーレ(2026年は5月9日〜11月22日)とあわせて巡る旅程も組めます。