島根県立石見美術館:劇場と一体になった、石見の舞台芸術と美術の複合拠点

島根県立石見美術館:劇場と一体になった、石見の舞台芸術と美術の複合拠点

美術館

益田市の複合文化施設「グラントワ」内に2005年開館。芸術文化センターの機能を兼ね備え、舞台芸術との連携企画や、石見神楽をはじめ地域文化に根ざした展示を行う。

はじめに:劇場と一体になった、石見地方の文化拠点

島根県立石見美術館は、島根県益田市の複合文化施設「島根県芸術文化センター グラントワ」内に、2005年(平成17年)に開館した美術館です。設計は建築家・内藤廣。屋根と外壁に地元産の石州瓦およそ28万枚を用いた赤茶色の大屋根が特徴的で、「グラントワ」という愛称もフランス語で「大きな屋根」を意味します。建物の内側には水を張った広い中庭があり、その中庭を囲むように美術館と島根県立いわみ芸術劇場が収まっています。美術鑑賞と舞台芸術の両方をひとつの建物で楽しめる、全国的にも珍しい複合的な文化拠点です。

時代背景:都市部から離れた地方における、複合文化拠点の挑戦

島根県東部の松江に県立美術館があるのに対し、県西部の石見地方には長らく本格的な美術施設がありませんでした。当館はコレクションの柱を「森鷗外ゆかりの作品」「ファッション」「石見地方の美術」の三つに定め、地域の歴史と現代の表現をつなぐ独自の路線を歩んできました。石見地方の津和野は文豪・森鷗外の故郷であり、また島根県は世界的デザイナー森英恵を生んだ土地でもあります。衣服を芸術・文化として広く捉えたファッションを収集方針の柱に据える美術館は国内でも数少なく、地方から発信する美術館のあり方として注目されています。

3つの見どころ

グラントワの大屋根建築

約28万枚の石州瓦で覆われた大屋根と外壁は、雨に濡れると赤みが深く艶を増します。石州瓦は石見地方で古くから焼かれてきた赤瓦で、高温で焼き締めるため吸水率が低く、風雪に強いのが特徴です。地域の産業をそのまま建築の素材とした試みでもあり、中庭の水盤に建物が映り込む景色は、天候や時間によって表情を変える見どころとなっています。

ファッションと森鷗外という二つの柱

ファッション・コレクションでは森英恵のドレスなども紹介され、衣服を美術として眺める体験ができます。森鷗外にゆかりの深い作品・資料とあわせ、他館では出会えない切り口の展示が組まれます。

舞台芸術との連携と地域文化

併設の劇場と連動した、美術と舞台芸術を横断する意欲的な企画展を開催しています。石見神楽をはじめ地域に伝わる文化を紹介する展示も行われ、益田という土地の成り立ちごと味わうことができます。展覧会の会期に合わせて公演やワークショップが組まれることもあり、一日を通してこの施設で過ごせるのは、美術館と劇場が同居する建物ならではの体験です。

施設情報・アクセス

住所: 〒698-0027 島根県益田市有明町5-15

アクセス: JR「益田駅」より徒歩約10分

開館時間: 10:00~18:30(展示室への入場は閉館30分前まで)

休館日: 火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始

観覧料: 企画展は展覧会ごとに設定(大人1,000円前後)。企画展とコレクション展を同じ日に観覧すると、コレクション展の観覧料が半額になります。