碌山美術館:安曇野に建つ教会風の館、日本近代彫刻の扉を開いた荻原守衛
「東洋のロダン」と呼ばれた彫刻家・荻原守衛(碌山)の作品を収蔵する安曇野の美術館。蔦の絡む教会風の碌山館と、絶作にして重要文化財の「女」で知られます。
はじめに:30万人の寄付で建った美術館
碌山美術館は、1958年(昭和33年)に長野県の安曇野・穂高に開館した美術館です。地元出身の彫刻家・荻原守衛(号・碌山、1879-1910)の作品を保存するため、県内の学校生徒や住民など約30万人の寄付によって建てられました。行政主導ではなく市民の手で生まれた美術館という成り立ちは、いまも館の性格を形づくっています。蔦の絡まる煉瓦造・教会風の「碌山館」は安曇野のシンボルとして愛され、北アルプスを望む敷地には彫刻が点在します。
荻原守衛:日本近代彫刻の夜明け
守衛ははじめ絵画を志してニューヨークとパリに渡りましたが、パリでロダンの「考える人」に出会って衝撃を受け、彫刻へ転向します。ロダン本人のもとを訪ね、直接その薫陶を受けたことでも知られます。帰国後、生命感あふれる塑造で日本の彫刻を一変させましたが、わずか30歳で急逝しました。遺された彫刻はわずか15点ほどですが、そのうち絶作「女」と「北條虎吉像」の2点が国の重要文化財に指定されています。友人の高村光太郎や戸張孤雁など、守衛と交流し、その系譜に連なる芸術家たちの作品もあわせて収蔵されています。
3つの見どころ
絶作「女」(重要文化財): ひざまずき、後ろ手に身をよじって天を仰ぐ女性像。叶わぬ想いを昇華させた作品といわれ、内に押し込めた感情が全身の緊張となって表れています。日本近代彫刻の金字塔です。
碌山館と展示棟の佇まい: 尖塔とレンガ壁に蔦が絡む教会風の建物は、建築家・今井兼次の設計で1957年に竣工しました。2009年には国の登録有形文化財となっています。敷地内には第1展示棟、絵画を展示する杜江館、グズベリーハウスなどが点在し、林の中を歩くように巡ることができます。
安曇野アートライン: 周辺には美術館・記念館が点在し、北アルプスを望むアート散歩が楽しめます。大糸線の穂高駅から徒歩圏なので、レンタサイクルと組み合わせるのもおすすめです。
施設情報・アクセス
住所: 長野県安曇野市穂高5095-1
アクセス: JR大糸線「穂高」駅から徒歩7分
開館時間: 9:00〜17:10(3月〜10月)、9:00〜16:10(11月〜2月)。入館は閉館の30分前までです。
休館日: 5月〜10月は無休。11月〜4月は月曜日と祝祭日の翌日が休館、12月21日〜31日も休館です。
入館料: 大人1,000円、高校生300円、中学生以下は無料(20名以上の団体は割引あり)