川端龍子:会場いっぱいの大画面で勝負した「会場芸術」、日本画界の豪快な異端児

川端龍子:会場いっぱいの大画面で勝負した「会場芸術」、日本画界の豪快な異端児

画家

床の間の掛軸ではなく、展覧会場を圧倒する巨大画面を——。洋画から転向した川端龍子は「会場芸術」を掲げて青龍社を旗揚げし、燃える草原や怒濤の鳴門を豪快に描きました。

はじめに:日本画をデカくした男

川端龍子(1885-1966)は、昭和の日本画家です。洋画家として出発し、渡米中にボストン美術館で日本美術に感動して日本画へ転向という異色の経歴の持ち主。繊細さを尊ぶ当時の日本画壇に対し、「会場芸術」——展覧会場で大衆を圧倒する大画面主義——を掲げ、1929年に自らの団体・青龍社を旗揚げしました。

絶対に知っておきたい!3つの見どころ

1. 「草炎」——燃え上がる緑

黒い背景に、夏草が炎のように金泥で燃え立つ代表作。床の間の花鳥画の常識を打ち破る強烈な生命力は、「日本画は優美であるべし」という固定観念への挑戦状でした。

2. 「鳴門」——怒濤のスペクタクル

渦潮のエネルギーを大画面いっぱいに叩きつけた海景の傑作。群青の渦と白い飛沫の対比は、葛飾北斎の波の現代版ともいうべき迫力です。

3. 青龍社と「健剛なる芸術」

龍子は官展を離れ、自分の団体で自分の理想を貫きました。戦中戦後も爆弾の破裂やジェット機まで日本画に取り込み、「日本画の題材はどこまで広げられるか」を生涯実験し続けました。大田区の龍子記念館は、本人設計の展示空間ごと作品を体感できる聖地です。

初心者が楽しむための鑑賞のコツ

  • 離れて全身で見る: 龍子の絵は間近で細部を愛でる絵ではありません。数メートル下がって、画面の圧を身体で受け止めてください。
  • 大観との対比: 同時代の横山大観が「格調」なら、龍子は「豪快」。二人を見比べると昭和日本画の振れ幅がわかります。

まとめ

龍子は、日本画に「スケールとスペクタクル」を持ち込んだ革命児です。おとなしい日本画のイメージが変わる、入門者にこそ効く豪快さです。

代表作ギャラリー

香炉峰
香炉峰1939年大田区立龍子記念館

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)