岡本太郎:縄文の美に雷打たれ、「芸術は爆発だ!」と叫び続けた情熱の前衛芸術家

岡本太郎:縄文の美に雷打たれ、「芸術は爆発だ!」と叫び続けた情熱の前衛芸術家

画家

「太陽の塔」や巨大壁画「明日の神話」を創り出し、お茶の間でも大人気スターだった岡本太郎。特権階級の綺麗ごとのアートを否定し、「誰にでも開かれた、剥き出しの生命力」としての芸術を生涯叫び続けた男の物語。

はじめに:綺麗にまとまるな!飼い慣らされたアートを壊し続けた表現の戦士

岡本太郎(1911-1996)は、日本の近代・現代美術界で最も強烈なインパクトを残した前衛芸術家です。彼は「芸術は爆発だ!」「芸術は呪術だ」「うまくあってはならない」といった名言を残し、テレビのバラエティ番組でもお茶の間のスターとして愛されました。しかしその本質は、ピカソと直接対話し、パリのシュルレアリスム運動の最前線で闘った本物の前衛闘士でした。彼は絵画や彫刻を、美術館に閉じ込めるのではなく、人々の生活の場(広場や壁)に開放し、人々の心の中にある「野生の生命力」を呼び覚まそうとしました。

生涯:パリでのピカソとの衝撃の出会い、縄文の発見、そして「太陽の塔」へ

漫画家・岡本一平と作家・岡本かの子の長男として生まれた太郎は、若くしてパリに渡り、ソルボンヌ大学で民族学を学びました。ある日、パリの画廊でピカソの抽象絵画を見て「これだ!」と雷に打たれ、抽象芸術運動に身を投じます。戦争によりすべてを失い帰国した太郎は、上野の東京国立博物館で「縄文土器」と出会い、その野性的で不均衡な美しさに大衝撃を受け、「これこそが日本の美の原点だ」と主張して伝統的なわび・さびの美意識に宣戦布告しました。1970年の大阪万博では、万博のテーマである近代合理主義に反旗を翻すように、原始の神のような「太陽の塔」を万博のど真ん中に打ち立てました。

3つの代表作解説

  • 太陽の塔(万博記念公園): 1970年大阪万博のシンボル。過去・現在・未来を表す3つの顔を持ち、お腹には縄文の太陽、背中には黒い太陽が描かれた、太古の呪術的モニュメント。
  • 明日の神話(渋谷駅): 30メートルに及ぶ巨大壁画。原爆が炸裂する悲劇の瞬間を描きながらも、人間はその絶望を乗り越え、明日に向かって力強く生き抜くという、生命の讃歌を描いた前衛アートの最高傑作。
  • 重工業(川崎市岡本太郎美術館): 太郎の初期の代表作。巨大な工場の機械の前に、不気味でユーモラスなネギの花が浮かび上がっている作品。相容れないもの同士をぶつけて新しいエネルギーを生み出す「対極主義」の象徴。