髪をほどいた横たわる裸婦:日本にある唯一のモディリアーニの裸婦像
- 作者
- アメデオ・モディリアーニ
- 制作年
- 1917年
- 所蔵
- 大阪中之島美術館
- 所在地
- 大阪市北区
モディリアーニが1917年に描いた裸婦像で、大阪中之島美術館の所蔵。日本国内で唯一のモディリアーニの裸婦像として知られます。1989年に大阪市が約19億円で購入するまでの来歴と、見どころ、展示状況を紹介します。
アメデオ・モディリアーニが短い生涯の終盤に集中して描いた裸婦像。そのうちの一点が、大阪中之島美術館にあります。日本国内で見られる唯一のモディリアーニの裸婦像であり、同館を代表する所蔵品として国内外へ貸し出されてきた作品でもあります。
《髪をほどいた横たわる裸婦》とは
アメデオ・モディリアーニ(1884〜1920年)が1917年に描いた油彩・カンヴァスで、寸法は60.0×92.2センチ。横長の画面いっぱいに、髪をほどいた女性が横たわる姿が描かれています。
イタリアに生まれたモディリアーニは、パリで活動した外国出身の画家たち、いわゆるエコール・ド・パリの一人でした。彫刻家としての活動を経て絵画に戻った彼は、引き伸ばされた首や輪郭線を強く意識した独特の造形にたどり着きます。1917年に集中して描かれた裸婦の連作は、その様式が完成した時期の仕事にあたります。同年12月にパリで開かれた画家唯一の個展では、裸婦作品が風紀を乱すとして当局の介入を招いたことでも知られています。
モディリアーニは1920年、35歳で世を去りました。裸婦を集中的に描いたのは1917年前後のごく短い期間に限られ、現存する点数も多くありません。その一点が大阪にあるという事実は、日本の西洋美術コレクションを語るうえで見過ごせない出来事です。
どこで見られる?
- 所蔵先:大阪中之島美術館
- 所在地:大阪市北区中之島。京阪中之島線の渡辺橋駅などから歩いて行けます
- 展示状況・観覧料:同館には常設展示専用の展示室がなく、所蔵品は会期を区切った特別展やコレクション展の中で公開されます。したがって本作も常時展示されているわけではありません。所蔵品の情報は同館のコレクションデータベースで調べられます。開館時間は10時〜17時(入場は16時30分まで)、休館日は月曜です。観覧料は展覧会ごとに異なるため、目当ての会期のページで確認が必要です
展示状況や観覧料は所蔵館の公式サイトで確認してください。
見どころ3選
- 一本の線で流れる輪郭:肩から腰、脚へと続く曲線がひと続きの旋律のようにつながり、画面を斜めに横切ります。彫刻から出発した画家ならではの、彫り込むような輪郭線です
- 肌と背景の色の対比:温かみのある褐色の肌が、赤みを帯びた背景と黒い髪に挟まれて浮かび上がります。色数を絞りながら、体温を感じさせる画面です
- 画面に収まりきらない身体:横長のカンヴァスに対して身体が大きく描かれ、鑑賞者との距離が極端に近く感じられます。この密度の高さが、連作の中でも本作を際立たせています
この絵が日本にある理由
この絵が日本と結びついたのは、モディリアーニの死からまもない時期のことでした。1923年から1933年までパリに滞在していた美術収集家の福島繁太郎が、現地の画廊で本作を購入します。日本にもたらされた本作は1934年に公開され、多くの日本人がモディリアーニという画家を知るきっかけになりました。
その数年後、絵は大阪の実業家で収集家の山本發次郎の手に渡ります。そして1989年、大阪市が約19億円で購入し、当時構想が進んでいた市立の近代美術館のコレクションに加えられました。その美術館が、2022年2月に開館した大阪中之島美術館です。開館までの長い準備期間、本作はスイス、フランス、アメリカ、韓国、ハンガリー、フィンランドなど各国の展覧会に貸し出され、日本を代表するモディリアーニ作品として知られるようになりました。いまは大阪へ戻り、同館のコレクションの核として大切に守られています。
まとめ
《髪をほどいた横たわる裸婦》は、モディリアーニ様式が完成した1917年の裸婦連作を、日本で確かめられる唯一の一点です。福島繁太郎、山本發次郎、そして大阪市へと受け継がれた来歴そのものが、日本における西洋美術受容の歴史でもあります。常設展示ではないため、公式サイトで公開の予定を確かめてから訪ねてください。


