『序の舞』:上村松園をモデルに、女性画家の情念と誇りを描いた宮尾文学の代表作
女性初の文化勲章を受章した日本画家・上村松園をモデルに、明治・大正・昭和を「絵ひとすじ」に生きた女性の情念と誇りを描く長編小説。伝記文学の名手・宮尾登美子の代表作です。
はじめに:美人画の頂点に立った女性の実像
『序の舞』(宮尾登美子 著)は、近代日本画を代表する女性画家・上村松園をモデルにした長編小説です。京都の葉茶屋の娘として生まれ、女が絵を描くことすら白眼視された明治の世に画壇へ飛び込み、女性として初めて文化勲章を受章するに至った画家。その光の裏にあった苦難と情念を、伝記文学の名手が描き切ります。
この本の3つの見どころ(読みどころ)
1. 明治の画壇を生きる女性の闘い
師匠との関係、未婚の母となった苦しみ、世間の悪意。それでも筆を折らなかった主人公の姿は、松園の実際の言葉「一点の卑俗なところもない絵を」と重なり、深い感動を呼びます。
2. 京都の花街と季節の美
宮尾登美子の筆が描く京都の風俗、着物、年中行事の美しさは絶品です。松園の美人画の背景にある京都文化を、小説として味わえます。
3. 「序の舞」という到達点
表題は松園の代表作(重要文化財)から。気品と強さをたたえたあの女性像がどんな人生の果てに描かれたのかを知ると、絵の見え方が一変します。
この本を読んだ後の、おすすめのアクション
松園の実物に会う: 「序の舞」は東京藝術大学大学美術館の所蔵。松伯美術館(奈良)や山種美術館など、松園作品を多く持つ美術館もあわせておすすめです。
まとめ
『序の舞』は、近代日本画史と女性史が交差する場所を描いた長編小説です。美人画というジャンルの見方が深まる一冊です。
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