『眩(くらら)』:北斎の娘・葛飾応為、江戸の闇に光を描いた女絵師の一代記
天才・葛飾北斎の娘にして、自らも「吉原格子先之図」などの傑作を残した女絵師・応為(お栄)。父の影で絵に生きたその生涯を描く、直木賞作家による傑作歴史小説です。
はじめに:北斎のかたわらにいた、もう一人の天才
『眩(くらら)』(朝井まかて 著)は、葛飾北斎の三女にして自らも絵師だった葛飾応為(お栄)の生涯を描く歴史小説です。「美人画にかけては応為には敵わない」と北斎自身に言わしめた娘は、しかし歴史の表舞台にはほとんど名を残しませんでした。本作はその埋もれた天才の一代記です。
この本の3つの見どころ(読みどころ)
1. 「画狂」父娘の凄まじい創作の日々
散らかり放題の長屋で、絵のことだけを考えて生きる北斎とお栄。互いの才能を認め合いながらぶつかり合う父娘の関係は、本作の心臓部です。北斎の代表作の制作裏話としても読めます。
2. 光と闇の傑作「吉原格子先之図」
応為の代表作は、吉原の夜を提灯の光と闇で描いた「江戸のレンブラント」とも評される一枚。この絵が生まれる過程がクライマックスとして描かれ、深い感動を呼びます。
3. 江戸の女が「描いて生きる」ということ
結婚よりも絵を選んだ女性の生き方は、現代の読者にこそ響きます。時代小説でありながら、きわめて現代的な物語です。
この本を読んだ後の、おすすめのアクション
応為の実物を探す: 「吉原格子先之図」は太田記念美術館の所蔵。北斎の作品とあわせて、すみだ北斎美術館などで父娘の画業を見比べてみてください。
まとめ
『眩』は、浮世絵の世界の奥深さと、そこに生きた女性の魂を伝える歴史小説です。ドラマ化もされた読み応え十分の一冊です。
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