『サロメ』:世紀末ロンドンを駆け抜けた夭折の鬼才、ビアズリーの光と闇
オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」に挿絵を描き、25歳で夭折した天才オーブリー・ビアズリー。その姉メイベルの視点から、世紀末芸術の光と闇を描く長編小説です。
はじめに:モノクロームの線が生んだスキャンダル
『サロメ』(原田マハ 著)は、19世紀末のロンドンで彗星のように現れ、25歳で世を去った鬼才オーブリー・ビアズリーを描く長編小説です。オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』英語版に寄せた、白と黒だけの妖艶な挿絵はあまりに有名。本作は姉メイベルの視点から、この危うい天才の実像に迫ります。
この本の3つの見どころ(読みどころ)
1. 世紀末ロンドンの空気
ヴィクトリア朝末期の抑圧と退廃、その狭間で花開いた耽美の文化。ワイルドのスキャンダルに揺れるロンドン美術界・文学界の空気が濃密に再現されます。
2. ビアズリーとワイルド、危険な蜜月
互いの才能に引かれ合いながら、やがて破滅的にすれ違っていく画家と作家。芸術家同士の共鳴と嫉妬という普遍的なテーマが、史実を土台にスリリングに展開します。
3. 姉メイベルという語り手
弟の才能を誰よりも信じ、支え、そして翻弄された姉。彼女の目を通すことで、挿絵の裏にある家族の物語が立ち上がります。ラストの余韻は忘れがたいものがあります。
この本を読んだ後の、おすすめのアクション
「サロメ」の挿絵を見返す: 画集や展覧会でビアズリーの線描をあらためて眺めてみてください。物語を知った後では、あの黒の深さがまったく違って見えます。
まとめ
『サロメ』は、世紀末芸術というジャンルへの最良の入口になる長編小説です。アール・ヌーヴォーや日本の竹久夢二らに与えた影響を辿る楽しみも広がります。
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