山口県立萩美術館・浦上記念館:実業家が愛した浮世絵と東洋陶磁が集う、萩の美術館

山口県立萩美術館・浦上記念館:実業家が愛した浮世絵と東洋陶磁が集う、萩の美術館

美術館

萩市出身の実業家・浦上敏朗が蒐集した浮世絵版画・東洋陶磁のコレクションをもとに1996年開館。葛飾北斎や歌川広重ら浮世絵の名品を核とする、国内屈指の専門美術館。

はじめに:一人の実業家が守り抜いた、浮世絵と陶磁の至宝

山口県立萩美術館・浦上記念館は、萩市出身の実業家・浦上敏朗が長年にわたり蒐集してきた浮世絵版画や東洋陶磁のコレクションをもとに、1996年(平成8年)10月に開館した美術館です。葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿ら浮世絵の巨匠たちの名品を核として、浮世絵約5,500点、中国・朝鮮を中心とした東洋陶磁約570点、近現代の陶芸・工芸約640点を収蔵しています。浮世絵を専門に扱う美術館としては国内でも有数の規模を誇り、企画展のたびに新しい名品が姿を見せます。本館の設計を手がけたのは、国立代々木競技場などで知られる建築家・丹下健三。城下町の景観に静かに溶け込む端正なたたずまいも、この館の見どころのひとつです。

時代背景:一人のコレクターの情熱が結実した、萩の美の殿堂

浦上敏朗は、実業家として成功を収める傍ら、浮世絵版画と中国・朝鮮・日本の陶磁器を生涯にわたり蒐集し続けました。そして66歳を迎えた折、その集大成というべき総数2,280点を郷里の山口県へ一括して寄贈します。これが当館開館の直接の契機となりました。萩焼で知られる陶芸の町にもう一つの美の拠点が誕生し、浮世絵と陶磁という異なる分野を横断する、独自性の高い美術館が実現したのです。さらに2010年には、400年の歴史を持つ萩焼をはじめとする陶芸の振興を目的として陶芸館が増築され、浮世絵・東洋陶磁・陶芸という三本柱がそろいました。一個人の審美眼から出発した収集が、県民全体の財産へと育っていった経緯そのものが、この美術館の物語になっています。

3つの見どころ

浮世絵版画コレクション: 北斎の「冨嶽三十六景」をはじめ、歌麿の美人画、広重の名所絵など、浮世絵の巨匠たちの名品を企画展を通じて公開しています。版画は光に弱く常設展示ができないため、会期ごとに作品が入れ替わります。訪れるたびに違う名品に出会えるのが、この館ならではの楽しみ方です。

東洋陶磁と陶芸館: 中国・朝鮮・日本の陶磁器を幅広く収蔵し、東アジアのやきものの歴史を通覧できます。2010年に増築された陶芸館では、萩焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)三輪壽雪(十一代休雪)の茶陶など、近現代の陶芸作品もあわせて紹介されています。

萩焼の町・萩の散策: 美術館の建つ平安古(ひやこ)一帯は、白壁と土塀が続く武家屋敷の町並みが残るエリアです。城下町の風情を味わいながら、萩焼の窯元めぐりとあわせて訪ねることができます。

施設情報・アクセス

住所: 〒758-0074 山口県萩市平安古町586-1

アクセス: JR「東萩駅」より徒歩約20分、または車で約5分。萩バスセンターからは徒歩約15分、萩循環まぁーるバス「萩美術館前」下車すぐです。

開館時間: 9:00〜17:00(入場は16:30まで)

休館日: 月曜日(祝日・休日は開館)、年末年始、展示替え期間

観覧料: 一般400円、学生250円(18歳以下および70歳以上は無料)。特別展は別料金となります。