すみだ北斎美術館:北斎が生まれた町・両国で、90年の画業をたどる
葛飾北斎の生誕地・墨田区に2016年開館。妹島和世設計の鏡のような建築の中で、「冨嶽三十六景」から肉筆画まで、世界のHOKUSAIの生涯をたどれます。
はじめに:北斎生誕の地に建つ美術館
すみだ北斎美術館は、2016年(平成28年)に東京・両国に開館した葛飾北斎専門の美術館です。北斎は現在の墨田区にあたる本所割下水の周辺で生まれ、90年の生涯のほとんどをこの一帯で過ごしました。生涯に93回も引っ越しをしたと伝えられますが、その大半は墨田区内だったといわれます。生誕地のすぐそばの緑町公園に建つこの美術館は、地域ぐるみで「世界のHOKUSAI」を発信する拠点となっています。2026年には開館10周年を迎え、記念事業が続いています。
建築とコレクション:妹島和世のアルミの箱
設計はプリツカー賞受賞建築家・妹島和世。淡く風景を映すアルミパネルの外壁にスリット状の切れ込みが入った建物は、下町の街並みに溶け込みながらも強い存在感を放ちます。四方から入れる開かれた構成で、公園で遊ぶ子どもたちの声がそのまま届くような親しみやすさがあります。コレクションの柱は、アメリカの北斎研究者ピーター・モースの旧蔵品と、日本の浮世絵研究を牽引した楢崎宗重のコレクション。「冨嶽三十六景」の代表作から摺物、絵手本、肉筆画まで、北斎の全画業を体系的に収蔵しています。当サイトでも紹介している北斎の代表作「神奈川沖浪裏」も、この館が扱う画業の中心にある一枚です。
3つの見どころ
常設展示室の北斎アトリエ再現模型: 晩年の北斎と娘・応為が暮らした長屋の一室を等身大で再現しています。散らかった部屋で黙々と絵を描き続ける北斎の姿は、この館を訪れたら必ず見ておきたい展示です。
「隅田川両岸景色図巻」: 長らく所在不明だった北斎の肉筆絵巻で、同館収蔵の目玉のひとつ。2026年9月15日から11月23日まで開かれる開館10周年記念特別展「ベスト オブ すみだ北斎美術館―隅田川両岸景色図巻と名品―」では、この図巻を軸に館蔵の名品が一堂に並びます(前後期で一部展示替えあり)。
タッチパネルで見る全作品: 常設展示室はデジタル展示が充実しており、版画の摺りの工程や作品の細部を拡大しながら体験的に学べます。
施設情報・アクセス
住所: 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2-7-2
アクセス: 都営大江戸線「両国」駅から徒歩5分、JR総武線「両国」駅から徒歩9分
開館時間: 9:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休)、年末年始(12月29日〜1月3日)
観覧料: 常設展は一般400円、高校生・大学生および65歳以上300円、中学生以下は無料。企画展は別料金で、開館10周年記念特別展は一般1,500円です。
