板橋区立美術館:江戸狩野派と「池袋モンパルナス」、23区初の区立美術館の尖った企画力
1979年開館、東京23区初の区立美術館。江戸狩野派などの近世絵画と前衛美術「池袋モンパルナス」の二本柱に、ボローニャ国際絵本原画展でも知られる個性派です。
はじめに:小さくても全国区の企画力
板橋区立美術館は、1979年(昭和54年)5月に開館した、東京23区で最初の区立美術館です。規模は決して大きくありませんが、「江戸文化シリーズ」をはじめとする切り口の鋭い企画展で全国の美術ファンを呼び寄せてきた、知る人ぞ知る名館。開館40周年にあたる2019年には大規模な改修を終えてリニューアルオープンし、展示室の環境やサインが一新されました。赤塚城の城址に隣接する高台にあり、周囲は溜池公園の緑や区立郷土資料館に囲まれた、都心の美術館とはまるで違う静かな環境です。
コレクション:狩野派と前衛、二つの顔
コレクションの柱は二つあります。ひとつは江戸狩野派を中心とする近世絵画で、江戸に生きた絵師たちの仕事を幅広く収集し、御用絵師の実力を再評価する展覧会を長年続けてきました。もうひとつは、大正から昭和戦前期にかけての前衛美術と、板橋にゆかりのある作家の作品です。とりわけ、池袋周辺のアトリエ村に若い画家たちが集った「池袋モンパルナス」の作品群は当館ならではの厚みを持っています。さらに、毎夏開催される「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」は、世界の絵本イラストレーションの最前線に触れられる恒例企画として定着しています。
3つの見どころ
江戸文化シリーズ:狩野派や江戸の絵師たちを、教科書的でないユニークな視点から掘り起こす名物企画です。一人の絵師や一つの画題をとことん追いかける構成で、江戸絵画好きの間では毎年の楽しみとして知られています。
池袋モンパルナスの画家たち:戦前のアトリエ村に暮らした画家たちの熱気を伝える前衛絵画のコレクション。時代に抗うように描かれた作品からは、貧しくとも自由な表現を求めた若い画家たちの息づかいが伝わってきます。戦争へと向かう時代のなかで、彼らが何を描こうとしたのかを考えさせられる展示です。
ボローニャ国際絵本原画展:毎年夏の風物詩として、世界中から集まった絵本原画が一堂に会します。原画ならではの筆致や色の重なりを間近で見られる貴重な機会で、子ども連れでも楽しめる展示として地元でも親しまれています。板橋区が「絵本のまち」を掲げていることもあり、区内の図書館などと連動した催しが開かれることもあります。
施設情報・アクセス
住所:〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27
アクセス:都営三田線「西高島平」駅から徒歩約14分。東武東上線「成増」駅北口、都営三田線「高島平」駅西口からバス利用も便利です
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休)、年末年始
観覧料:館蔵品展は無料。特別展は一般650円、大学・高校生450円、小中学生200円(65歳以上は半額、土曜日は小中高校生無料)