秋田県立近代美術館:横手の田園に建つ、秋田蘭画と県ゆかりの美術

秋田県立近代美術館:横手の田園に建つ、秋田蘭画と県ゆかりの美術

美術館

秋田自動車道・横手インターに程近い田園地帯に建つ、秋田県ゆかりの美術を紹介する美術館。江戸中後期の洋風画「秋田蘭画」と、福田豊四郎ら県ゆかりの近代・現代作家のコレクションで知られます。

はじめに:田園風景の中に建つ、秋田美術のもう一つの拠点

秋田県立近代美術館は、秋田県横手市の田園地帯に1994年(平成6年)に開館した美術館です。観光施設「秋田ふるさと村」の敷地内にあり、設計は山下設計。秋田市にある秋田県立美術館(藤田嗣治の大壁画「秋田の行事」で知られる)とは別の施設で、こちらは秋田ゆかりの近世から現代までの美術を紹介する役割を担っています。広大な敷地と開放的な建築の中で、ゆったりと作品を鑑賞できます。

コレクション:秋田蘭画から近代絵画まで

収蔵品は約2700点。その核となるのが、江戸時代中・後期に秋田藩で花開いた洋風画「秋田蘭画」です。平賀源内から西洋画法の手ほどきを受け、『解体新書』の挿絵を手がけた小田野直武、藩主の佐竹曙山、一門の佐竹義躬らの作品を通じて、遠近法と陰影表現が日本の絵画に入り込んだ瞬間に立ち会うことができます。近代以降では、秋田の風土を描いた日本画家・福田豊四郎、平福穂庵・平福百穂の父子、寺崎広業、秋田の風俗を版画に刻んだ勝平得之、洋画家の小西正太郎、書家の松井如流、金工の関谷四郎など、この土地が育てた作家を体系的に収集しており、江戸から現代までを一本の線でつなぐ構成になっています。

秋田蘭画が生まれたきっかけは、1773年に鉱山の技術指導のため秋田を訪れた平賀源内でした。源内が伝えた西洋画法を吸収した小田野直武は、まもなく江戸で杉田玄白らの『解体新書』の付図を任されます。藩主の佐竹曙山自身も絵筆をとり、画論『画法綱領』を著すほどの熱の入れようでした。江戸から遠く離れた北国の藩で、わずか十数年のあいだに近代的な写実の芽が吹いたという事実は、日本美術史のなかでも際立って興味深い出来事です。

3つの見どころ

秋田蘭画:小田野直武や佐竹曙山らによる、日本美術史のなかでも特異な位置を占める洋風画。近世の秋田がいかに先進的だったかを物語ります。

秋田ゆかりの近代・現代美術:平福父子や福田豊四郎、勝平得之ら地元出身の画家たちの作品を中心に、秋田の美術の広がりを紹介するコレクション展を開催しています。

横手の田園風景との調和:周囲の田園地帯に溶け込むような、ゆったりとした敷地と建築が特徴です。同じ敷地の秋田ふるさと村とあわせて、一日ゆっくり過ごせます。

施設情報・アクセス

住所:〒013-0064 秋田県横手市赤坂字富ヶ沢62-46

アクセス:秋田自動車道「横手インターチェンジ」より車で約5分。JR「横手」駅からはバスの便もあります。

開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日:年末年始、メンテナンス休館(1月中旬)。公式サイトの開館カレンダーで要確認です。

観覧料:コレクション展は一般400円、学生300円、小・中学生200円。特別展は別料金です。