カミーユ・ピサロ:印象派展・全8回に参加した唯一の画家、「印象派の長老」
モネもセザンヌもゴーギャンも、みなピサロに助けられました。印象派展全8回すべてに参加した唯一の画家にして、若い才能を育てた「印象派の長老」の温かい画業をたどります。
はじめに:印象派の「背骨」だった人
カミーユ・ピサロ(1830-1903)は、カリブ海のセント・トーマス島生まれの印象派の画家です。1874年の第1回から1886年の第8回まで、印象派展のすべてに参加したのはピサロただ一人。温厚で面倒見がよく、仲間の対立を調停し、若い画家を励まし続けたことから「印象派の長老」と呼ばれます。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 農村の労働を描いた印象派
ピサロが好んで描いたのは、ポントワーズやエラニーの畑で働く農民たちです。ミレーの主題を印象派の明るい光で描き直したその画面には、無政府主義に共鳴した彼の、働く人々への敬意が宿っています。
2. セザンヌとゴーギャンの「先生」
気難しいセザンヌが「謙虚で偉大なピサロは私にとって父のような人だった」と語り、株式仲買人だったゴーギャンを絵の道に導いたのもピサロでした。ポスト印象派の二大巨匠は、どちらもピサロの畑から巣立ったのです。
3. 晩年のパリ大通り連作
目を病んで戸外制作が難しくなった晩年、ピサロはホテルの窓からパリの大通りを見下ろす連作に挑みました。「モンマルトル大通り」連作の雑踏のきらめきは、都市を描く印象派の到達点の一つです。
初心者が楽しむための鑑賞のコツ
- 「畑の空気」を吸う: ピサロの農村画は、土の匂いと風の湿り気まで描かれています。都会の喧騒を忘れたいときに効く絵です。
- 視点の高さに注目: 晩年の大通り連作は必ず高い窓からの見下ろし。人と馬車が点描のように蠢く画面は、現代のタイムラプス映像の先祖のようです。
まとめ
ピサロは、画風の革新だけでなく人柄で美術史を動かした稀有な画家です。印象派という「チーム」の物語は、ピサロ抜きには語れません。


