メアリー・カサット:母と子の親密な時間を描き、アメリカに印象派を伝えた女性画家

メアリー・カサット:母と子の親密な時間を描き、アメリカに印象派を伝えた女性画家

画家

ドガに見出されて印象派展に参加し、母子の親密な情愛を描き続けたアメリカ出身のメアリー・カサット。浮世絵に学んだ革新的な版画でも知られ、アメリカへ印象派を紹介する架け橋となった生涯。

はじめに:印象派に参加したアメリカ人

メアリー・カサット(1844-1926)は、アメリカ・ペンシルベニア州出身で、パリを拠点に活躍した画家です。エドガー・ドガに見出されて印象派展に参加し、母と子の何気ない日常の中に流れる親密な情愛を、生涯のテーマとして描き続けました。ベルト・モリゾと並んで、印象派を語るうえで欠かせない女性画家です。

生涯:家族の反対を越えて、パリへ

裕福な銀行家の家庭に生まれたカサットは、画家になることを望みましたが、当時のアメリカで女性が職業画家を目指すことには家族の強い反対がありました。それを押し切って渡欧し、ヨーロッパ各地で古典絵画を学びます。転機は1877年、サロンで落選が続いていた頃、彼女の絵に注目していたドガから印象派展への参加を誘われたことでした。「ようやく、審査員の顔色をうかがわずに描ける」と、カサットはこの誘いを喜んで受けます。1890年にパリで開かれた日本の浮世絵の大展覧会に感銘を受け、平らな色面と大胆な構図を取り入れた色彩銅版画の連作を制作。これは西洋版画史に残る成果となりました。また、アメリカの富裕層の友人たちに印象派の購入を勧め、モネやドガの名作が海を渡る橋渡し役も果たしました。晩年は視力を失いながらも、女性の参政権運動を支援するなど、最後まで自立した人生を貫きました。

3つの代表作解説

  • 子どもの沐浴(シカゴ美術館): 母が幼い子の足を洗う日常の一場面を、真上からの大胆な視点で描いた代表作。浮世絵の構図を取り入れた、カサット芸術の到達点です。
  • 桟敷席にて: オペラ座の桟敷席でオペラグラスを覗く女性を描いた作品。「見られる存在」だった女性を「見る主体」として描いた点でも注目されます。
  • 手紙(色彩銅版画連作): 浮世絵に触発された10点の色彩銅版画のひとつ。青い着物のような衣装と平面的な構成に、ジャポニスムの影響が鮮やかに表れています。

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カサットを印象派に導いたエドガー・ドガ、同じ印象派の女性画家ベルト・モリゾとあわせて読むのがおすすめです。カサットが影響を受けた日本の版画については浮世絵(江戸美術)喜多川歌麿をどうぞ。