ジャン・オノレ・フラゴナール:「ぶらんこ」の軽やかさ、ロココ最後の輝き

ジャン・オノレ・フラゴナール:「ぶらんこ」の軽やかさ、ロココ最後の輝き

画家

宙を舞う靴、めくれるスカート、茂みの視線。「ぶらんこ」一枚でロココの遊び心を永遠にしたフラゴナール。革命とともに忘れられ、死後に再発見された快楽の絵画の名手です。

はじめに:ロココのフィナーレを飾った筆

ジャン・オノレ・フラゴナール(1732-1806)は、18世紀フランス・ロココ最後の巨匠です。ブーシェに学び、ローマ賞を得てイタリアで研鑽を積みながら、アカデミーの歴史画家の道を捨て、貴族たちの私室を飾る恋愛画・風俗画で一世を風靡しました。しかしフランス革命がパトロンごと彼の世界を消し去り、忘れられたまま世を去ります。

絶対に知っておきたい!3つの見どころ

1. 「ぶらんこ」——18世紀で最も有名な悪戯

老貴族が押すぶらんこに乗り、若い恋人へ靴を蹴り飛ばす貴婦人。薔薇色のドレス、舞い上がるスカート、茂みに隠れる青年の視線。軽薄と紙一重の主題を、光の階調と絶妙な構図で「永遠の一瞬」に変えた奇跡の一枚です(ウォレス・コレクション蔵)。

2. 「読書する娘」——静けさのフラゴナール

横顔で本に没頭する少女を、黄色いドレスと素早い筆で描いたこの絵は、恋愛画とは別の顔。筆の速度がそのまま生命感になる、ハルス譲りの快筆です。

3. 「愛の遍歴」連作——ロココの集大成

デュ・バリー夫人の別荘のために描かれた大装飾連作は、出会いから愛の成就までを庭園の中に描くロココ絵画の総決算。しかし完成直後に「古臭い」と返却され、時代の終わりを告げる作品にもなりました。

初心者が楽しむための鑑賞のコツ

  • 筆の速さを楽しむ: フラゴナールは18世紀屈指の速筆。泡立つような筆致は、上品なワトーとも装飾的なブーシェとも違う躍動です。
  • 「その後」を想像する: ぶらんこの恋の行方も、この享楽の時代の行方(革命)も。絵の外の時間を想像すると、輝きが切なさを帯びます。

まとめ

フラゴナールは、消えゆく時代の快楽を全力で肯定した画家です。ロココ入門は、ワトーの憂いとフラゴナールの陽気、その両方でどうぞ。

代表作ギャラリー

ぶらんこ
ぶらんこ1767年頃ウォレス・コレクション
読書する娘
読書する娘1770年頃ワシントン・ナショナル・ギャラリー
かんぬき
かんぬき1777年頃ルーヴル美術館

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)