チームラボ:裸足で水に入り、光の中を歩くミュージアム
鯉が泳ぐ水面に裸足で入り、花が降る部屋に寝転ぶ。2001年から活動するアートコレクティブ・チームラボは、鑑賞者の動きで刻々と変わるデジタルアートで世界中の人を集めています。豊洲のプラネッツ、麻布台ヒルズのボーダレス、京都のバイオヴォルテックスなど、常設の施設が多いのも特徴です。
チームラボ(2001-)は、アーティスト、プログラマ、エンジニア、数学者、建築家など、さまざまな分野の専門家からなるアートコレクティブです。作品はプログラムでその場で描かれ続け、見る人の動きに反応して変わります。同じ絵は二度と現れません。東京の「チームラボボーダレス」と「チームラボプラネッツ」は、世界でもっとも人を集める美術館としてギネス世界記録に認定されました。
経歴
2001年、東京大学を卒業した猪子寿之が仲間とともに設立しました。2013年にはシンガポール・ビエンナーレに参加。2014年から翌年にかけて日本科学未来館で開いた「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」で、国内でも広く知られるようになりました。
2016年、シンガポールに常設展「teamLab Future World」が開館。2018年6月には東京・お台場に「チームラボボーダレス」、同年7月に豊洲に「チームラボプラネッツ」が開館しました。お台場のボーダレスは2022年に閉館し、2024年2月に麻布台ヒルズで新たに開館しています。
作風と手法
チームラボの作品は、映像を再生しているのではありません。プログラムがリアルタイムに絵を描き続け、人がそこにいること、触れること、歩くことが作品を変えます。鯉が泳ぐ水面を人が歩くと、鯉は人を避け、ぶつかると花になって散ります。
根底にあるのは「境界をなくす」という考えです。作品と作品の境界、自分と世界の境界、時間の区切り。人は世界を切り分けて理解しますが、チームラボはその切れ目を越えようとします。「ボーダレス」では作品が部屋を出て別の作品と混ざり合い、地図のない一つの世界を作ります。
もう一つの柱が「Digitized Nature」です。自然そのものに光や音を与え、自然が自然のままアートになる取り組みです。
主な作品
- 《人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity》:水の中に入って鑑賞する作品。鯉の軌跡が線を描き、人にぶつかった鯉は花になります。プラネッツで公開中です。
- 《Floating Flower Garden:花と我と同根、庭と我と一体》:空中に浮かぶ生きたランで満たされた空間。人がいる場所だけ花が上がり、道が生まれます。
- 《花と人、コントロールできないけれども共に生きる》:花が咲いて散る一年が刻々と描かれる代表作。ボーダレスや京都で見られます。
国際的な評価
作品は、ビクトリア国立美術館(メルボルン)、アモス・レックス(ヘルシンキ)、ロサンゼルス現代美術館などに収蔵されています。常設の施設もシンガポール、マカオ、ジッダ、アブダビと広がり、2025年4月には「teamLab Phenomena Abu Dhabi」が開館しました。
お台場のチームラボボーダレスは2019年に219万8,284人が来館し、「単一アート・グループとして世界で最も来館者が多い美術館」としてギネス世界記録に認定されました。チームラボプラネッツも2023年度の250万4,264人で同じ記録に認定されています。
日本で見られる場所
東京・豊洲のチームラボプラネッツ TOKYO DMMは「水に入るミュージアム」です。裸足で水の中に入って鯉の作品を体験します。ランの花が浮かぶ庭園や「運動の森」もあります。2018年の開館で、公式サイトによれば公開は2027年末までです。日時指定のチケットが必要です。
麻布台ヒルズの森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレスは、2024年2月に開館した「地図のないミュージアム」です。作品が壁を越えて移動し、部屋どうしが溶け合います。
2025年10月には京都にチームラボ バイオヴォルテックス 京都が開館しました。運動の森や未来の遊園地も含む大型施設です。大阪では、長居植物園の夜を使った野外ミュージアムチームラボ ボタニカルガーデン 大阪(2022年-)と、東大阪の「風と雨と太陽の草原」(2024年-)が常設です。
ほかにも、「チームラボフォレスト 福岡」(みずほPayPayドーム福岡隣、2020年-)、那覇の「学ぶ!未来の遊園地 沖縄」(2023年-)、武雄温泉・御船山楽園の「廃墟と遺跡:淋汗茶の湯」(2021年-)、大分の「チームラボギャラリー真玉海岸」(2015年-)が常設です。御船山楽園の「かみさまがすまう森」は夏から秋の季節限定です。
見どころ
チームラボの作品は、立ち止まって眺めるより、動いてみるほうが面白くなります。水の中で足を止め、鯉が自分をよけていくのを待つ。花の部屋では寝転んで天井を見る。ボーダレスでは、同じ場所に戻ると違う作品が流れ込んでいます。「今この瞬間の絵は二度と見られない」という言葉を、体で確かめてください。