久留米市美術館:石橋文化センターの庭園とともに、青木繁を生んだ町の美術館

久留米市美術館:石橋文化センターの庭園とともに、青木繁を生んだ町の美術館

美術館

ブリヂストン創業者・石橋正二郎が故郷に贈った石橋文化センター内の美術館。旧石橋美術館を継承して2016年開館し、青木繁や坂本繁二郎を生んだ久留米で九州洋画の系譜をたどります。

はじめに:タイヤ王が故郷に贈った文化の杜

久留米市美術館は、福岡県久留米市の石橋文化センター内にある美術館です。この一帯は、ブリヂストン創業者・石橋正二郎が1956年(昭和31年)に「世の人々の楽しみと幸福の為に」と故郷へ寄贈した文化公園で、長らく石橋美術館として親しまれてきました。2016年(平成28年)11月、運営が久留米市に引き継がれ、「とき・ひと・美をむすぶ美術館」を掲げる久留米市美術館として再出発しています。園内には音楽ホールや図書館、石橋正二郎記念館、坂本繁二郎の旧アトリエなどが点在し、庭園部分は無料で散策できます。2026年には石橋文化センターが開園70周年を迎えました。

コレクション:九州洋画の系譜

久留米は、「海の幸」の青木繁と、静謐な馬の画家・坂本繁二郎という日本近代洋画の二大巨星を同じ年に生んだ特別な町です。美術館は「九州洋画」をテーマに体系的な収集を進めており、坂本繁二郎「放水路の雲」、古賀春江「中洲風景(夜)」、髙島野十郎「蠟燭」、児島善三郎「ミモザその他」、田崎廣助「夏の阿蘇山」、海老原喜之助「雪景」、牛島憲之「樹」など、この土地とその周辺が育んだ画家たちの系譜をたどれる作品が並びます。青木・坂本と同時代の画家から昭和の前衛まで、一つの地方都市がこれほど多くの洋画家を送り出した事実そのものが、このコレクションの主題です。

青木繁と坂本繁二郎は、ともに1882年に久留米で生まれた幼なじみでした。同じ町で絵を学び、そろって上京しながら、青木は神話と海に取り憑かれた激情の絵を残して28歳で世を去り、坂本は月や馬を描き続けて87歳まで生きます。同じ土から出た二人の、これほど対照的な生き方と画風を並べて考えられることが、久留米という町の面白さです。

3つの見どころ

九州洋画コレクション:青木繁と坂本繁二郎を軸に、九州が日本洋画史に果たした役割を実感できます。

石橋文化センターの庭園:春と秋のバラ園は圧巻。ツバキや日本庭園も見どころで、園内には坂本繁二郎の旧アトリエも移築されています。

企画展:九州ゆかりの画家を深掘りする独自企画に定評があります。青木繁と坂本繁二郎という盟友二人を並べた大型展など、久留米ならではの切り口が魅力です。

施設情報・アクセス

住所:福岡県久留米市野中町1015(石橋文化センター内)

アクセス:JR「久留米」駅・西鉄「久留米」駅からバス「文化センター前」下車

開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、展示替え期間

観覧料:庭園の入園は無料。美術館は展覧会ごとに料金が異なるため、公式サイトでご確認ください。