北九州市立美術館:磯崎新の「丘の上の双眼鏡」、ドガの名画と眺める工業都市

北九州市立美術館:磯崎新の「丘の上の双眼鏡」、ドガの名画と眺める工業都市

美術館

1974年開館、磯崎新設計の本館は二本の筒が突き出す通称「丘の上の双眼鏡」。ドガ「マネとマネ夫人像」など西洋近代から現代までを収蔵する北九州の中核美術館です。

はじめに:建築とコレクションの両輪

北九州市立美術館は、1974年(昭和49年)に開館した、西日本の公立美術館の先駆けのひとつです。前身は1958年開館の八幡市美術工芸館で、五市合併による北九州市の誕生を経て、市の中央部にあたる戸畑区の丘の上に本館が建てられました。設計は建築家・磯崎新。正面から二本の巨大な角筒が突き出した姿から「丘の上の双眼鏡」と呼ばれ、磯崎の初期代表作として国際的にも知られています。1987年にはアネックス棟が加わり、2017年には本館の大規模改修を終えてリニューアルオープン。2024年に開館50周年を迎えました。丘を上るカスケード状のアプローチから建物へ近づいていく体験そのものが、この美術館の入口になっています。

コレクション:ドガの問題作から現代美術まで

収蔵品は近現代美術を主軸に、絵画・彫刻・素描・版画など約8,000点。最も有名なのが、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》です。ドガが友人マネ夫妻を描いて贈ったところ、妻の描かれ方に納得しなかったマネがその部分を切り取ってしまったという、いわくつきの作品。切断された箇所にはドガが新しいカンヴァスを継ぎ足しましたが、描き直されないまま白く残されており、二人の天才の緊張関係が画面にそのまま刻まれています。ほかにクロード・モネ《睡蓮、柳の反影》、ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子を被った女》といった印象派の名品、20世紀の国内外の現代美術、地元ゆかりの作家までコレクションの幅は広く、コレクション展のたびに違う顔を見せてくれます。

3つの見どころ

1. ドガ《マネとマネ夫人像》

ピアノを弾くマネ夫人の顔から右側が断ち切られたまま。美術史の事件そのものといえる一枚です。

2. 磯崎新の本館建築

丘を上るアプローチと、宙に突き出した二本の展示筒。建物目当ての来館者も多い名建築です。

3. 丘の上からの眺め

工業都市・北九州を一望でき、夕暮れどきはとりわけ美しい風景が広がります。

施設情報・アクセス

住所:〒804-0024 福岡県北九州市戸畑区西鞘ケ谷町21-1

アクセス:JR「戸畑」駅・「八幡」駅からバス「北九州市立美術館」下車

開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始

観覧料:本館のコレクション展は一般300円、高・大生200円、小・中生100円(企画展は別料金)。市内在住の65歳以上の方は割引、障害者手帳をお持ちの方は無料です。

分館について:小倉北区のリバーウォーク北九州内にあった分館(2003年開設)は、現在休止中です。訪問前に本館の公式サイトで最新情報をご確認ください。