ロベール・ドローネー:エッフェル塔と色彩の円盤、「オルフィスム」の光の画家

ロベール・ドローネー:エッフェル塔と色彩の円盤、「オルフィスム」の光の画家

画家

砕けながら天へ伸びる赤いエッフェル塔、虹色の同心円。ドローネーはキュビスムに色彩と光を取り戻し、詩人が「オルフィスム」と名付けた抽象絵画の先駆けとなりました。

はじめに:色彩でキュビスムを解放する

ロベール・ドローネー(1885-1941)は、フランスの画家です。ピカソらのキュビスムが褐色の分析に向かう中、ドローネーは色彩の対比こそが形と運動とリズムを生むと考え、光そのものを主題とする絵画へ進みました。詩人アポリネールはこの色彩の音楽を、竪琴の神オルフェウスにちなんで「オルフィスム」と命名しました。

絶対に知っておきたい!3つの見どころ

1. エッフェル塔連作——踊る鉄塔

複数の視点から同時に見たエッフェル塔が、赤く燃えながら砕け、伸び上がる連作は、新時代の象徴を新しい絵画言語で讃える宣言でした。塔は静止せず、都市のエネルギーそのもののように脈動します。

2. 「同時の窓」——ガラス越しの色彩

窓辺の光景をプリズムのような色面に分解した「窓」連作で、ドローネーは対象の再現から色彩の構成へ踏み出します。パウル・クレーやマッケらドイツの画家たちに巨大な影響を与えました。

3. 円盤・リズム連作——純粋な色の回転

同心円が回転するような後期の「リズム」連作は、音楽のように無対象の絵画です。妻ソニア・ドローネーとともに、絵画・ファッション・デザインを横断した色彩の実験は、現代のグラフィックにまで谺しています。

初心者が楽しむための鑑賞のコツ

  • 色の「隣り合わせ」を見る: 赤の隣の緑、橙の隣の青。補色の衝突が生む振動こそドローネーのエンジンです。
  • 塔の高さを体感する: エッフェル塔連作は見上げる視点と見下ろす視点が同居します。首を動かしながら見ると塔が動き出します。

まとめ

ドローネーは、「色は形の従者ではない」と宣言した画家です。抽象絵画がなぜ生まれたのか、その一つの答えがこの光の円盤にあります。

代表作ギャラリー

赤いエッフェル塔
赤いエッフェル塔1911年グッゲンハイム美術館
同時の窓
同時の窓1912年ハンブルク美術館
リズム
リズム1934年

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)