パブロ・ピカソ:顔がバラバラ?常識を壊して世界を描き直した破壊と創造の巨匠
なぜ彼はあんな「変な絵」を描いたのか?実は超絶技巧の持ち主だったピカソが、誰も見たことのない新しい絵画を発明するまでの物語。
はじめに:ピカソの絵は「子供の落書き」ではない
パブロ・ピカソ(1881-1973)の絵を見たとき、「顔が歪んでいる」「目や鼻の位置がバラバラで、子供が描いた落書きみたいだ」と思ったことはありませんか?
しかし、実はピカソは10代前半の時点で、写真のように正確でリアルな絵を完璧に描くことができる「超絶技巧」の持ち主でした。「写真のように描けるなら、わざわざ絵の具で描く意味はあるのか?絵画にしかできない表現とは何か?」——その問いを生涯にわたって追求し、美術の歴史を根本から破壊し、再構築したのがピカソなのです。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 視点の革命「キュビスム(立体派)」の発明
ピカソが起こした最大の革命が「キュビスム」です。ルネサンス以降の約400年間、絵画は「一つの視点から見た風景を、遠近法を使ってリアルに描く」ことが絶対のルールでした。しかしピカソは、対象をサイコロのようにバラバラのパーツに分解し、「正面から見た目」「横から見た鼻」など、複数の視点から見た情報を1つの平面上にパズルのように組み立て直したのです。これにより、絵画は「現実のコピー」から完全に自由になりました。
2. 時代とともに劇的に変わる作風(スタイル)
普通の画家は一生かけて一つのスタイルを極めますが、ピカソは数年単位で作風をガラリと変えました。貧しい人々を青い色調で描いた「青の時代」、大道芸人などを明るく描いた「ばら色の時代」、そして「キュビスム」、さらには古代ギリシャのような重厚な「新古典主義の時代」など。自分が作り上げたスタイルを次々と自ら破壊しては新しいものを生み出す、その圧倒的なエネルギーがピカソの真骨頂です。
3. 平和への強烈なメッセージ『ゲルニカ』
ピカソの最高傑作と呼ばれるのが、縦3.5m、横7.8mにも及ぶ巨大な壁画『ゲルニカ』です。スペイン内戦中、ドイツ軍によって無差別爆撃を受けたゲルニカという街の惨状に怒ったピカソが、わずか数週間で描き上げました。泣き叫ぶ母親やいななく馬が、白・黒・グレーのモノクロームで描かれたこの作品は、20世紀を代表する最も力強い反戦のシンボルとして、現在も世界中にメッセージを放ち続けています。
初心者が楽しむための鑑賞のコツ
- 「何が描かれているか」を当てようとしない: キュビスムの絵の前で「これはギターかな?」「これは人の顔だ」とクイズのように楽しむのも良いですが、形を正確に読み解く必要はありません。音楽を聴くように、線のリズムや色の重なりを感覚的に楽しむのがおすすめです。
- 初期の作品を見てみる: もし「ピカソの凄さがわからない」と思ったら、彼が15歳頃に描いた初期の写実的な絵画を検索して見てください。基礎画力の圧倒的な高さに度肝を抜かれるはずです。
まとめ
91歳で亡くなるまでに残した作品数は約15万点(ギネス記録)。ピカソは、まさに「描くことの怪物」でした。彼の作品は、私たちに「世界は一つの見方だけではなく、様々な角度から見ることができるんだよ」と教えてくれているのです。
