木靴職人:一枚のカンヴァスの表側に描かれたゴーギャンの職人像
- 作者
- ポール・ゴーギャン
- 制作年
- 1888年
- 所蔵
- 愛知県美術館
- 所在地
- 愛知県名古屋市
ポール・ゴーギャンが1888年に描いた《木靴職人》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。実は同じカンヴァスの裏側に《海岸の岩》が描かれた両面画で、常設展示ではなくコレクション展の会期ごとに公開されます。
ポール・ゴーギャンの《木靴職人》は、1888年に描かれた油彩画です。所蔵しているのは名古屋市の愛知県美術館。木靴づくりに向き合う職人の姿をとらえた一点ですが、この絵は独立した一枚のカンヴァスではありません。同じ布の裏側には、もう一点《海岸の岩》という絵が描かれています。
《木靴職人》とは
愛知県美術館のコレクション検索によると、《木靴職人》の制作年は1888年、技法は油彩・画布、寸法は58.0×49.0センチ、資料番号はFO201200001002です。縦長の画面に職人が大きく配され、日々の手仕事がそのまま主題になっています。
1888年は、ゴーギャンにとって転機の年でした。フランス北西部ブルターニュ地方のポン=タヴェンに滞在し、対象を平坦な色面と輪郭線でとらえる新しい様式を探っていた時期にあたります。同じ年の秋には南フランスのアルルへ移り、フィンセント・ファン・ゴッホとの共同生活が始まりました。《木靴職人》は、その慌ただしい一年のなかで生まれています。
そしてこの作品を語るうえで欠かせないのが、裏面の存在です。愛知県美術館の年報では、この作品は《海岸の岩/木靴職人》という一つの作品として、2012年度の新収蔵作品一覧に載っています。コレクション検索では二つの面がそれぞれ独立した記録として公開され、互いに関連作品として結ばれています。寸法は《木靴職人》が58.0×49.0センチ、《海岸の岩》が49.0×58.0センチ。数字が入れ替わっているのは、ゴーギャンが同じ布を縦に使って職人を描き、横に倒して海辺の岩を描いたからです。
どこで見られる?
- 所蔵先:愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
- 所在地:愛知県名古屋市東区東桜一丁目13番2号。地下鉄栄駅から徒歩5分ほどです。
- 展示状況・観覧料:常設展示ではありません。愛知県美術館のコレクション展は年に数期に分けて開かれ、会期ごとに作品が入れ替わります。2012年度の年報にも「各期に作品を入れ替え」と記されており、《木靴職人》が出品されるかどうかは会期次第です。両面画という性格上、どちらの面が見えているかも会期によって変わる可能性があります。コレクション展の観覧料は一般500円、大学生300円、高校生以下は無料(20名以上の団体は一般400円、大学生240円)です。
展示状況や観覧料は所蔵館の公式サイトで確認してください。
見どころ3選
- 裏面とセットで味わう:表が人物画、裏が風景画という組み合わせです。同じ布のうえで、ゴーギャンがまったく違う二つの主題に取り組んでいたことがわかります。裏面の《海岸の岩》は、この絵と切り離せない相棒です。
- 縦横が入れ替わる構図:58.0×49.0センチの縦長と、49.0×58.0センチの横長。画家がカンヴァスを回して使った痕跡が、寸法の記録にそのまま残っています。両面に描くことは、画布を節約する実際的な方法でもありました。
- 働く人へのまなざし:華やかな主題ではなく、木靴という素朴な生活道具をつくる職人が選ばれています。ブルターニュの土地と人に惹かれていた当時のゴーギャンらしい選択です。
この絵が日本にある理由
愛知県美術館は、1955年に開館した愛知県文化会館美術館を前身とし、1992年に愛知芸術文化センター内の美術館としてあらためて開館しました。1987年に定めた収集方針では20世紀の国内外の美術を柱に据え、グスタフ・クリムトやパブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、マックス・エルンストといった西洋近代の作家を継続して集めてきました。
このゴーギャンは、2012年度の新収蔵作品です。同館の年報によれば、個人から寄せられた3億円の寄附金によって購入されました。同じ年には《水浴するブルターニュの女たち》(1889年、リトグラフ)と《テ・ポ(夜)》(1893-94年、木版)という版画2点も同じ寄附金で収蔵されています。一人の寄附者の意思が、名古屋にゴーギャンのまとまった一角をつくったといえます。
まとめ
《木靴職人》は、名古屋の愛知県美術館で見られるゴーギャンの油彩画です。ただし常設展示ではなく、コレクション展の会期に合わせて姿を見せます。裏面の《海岸の岩》と一枚の布を分け合っている点を知っておくと、画面の前に立ったときの見え方が変わるはずです。出かける前に、公式サイトで会期と出品作品を確かめておくと確実です。


