アルルの寝室:3点あるうち最初の1点をアムステルダムで

アルルの寝室:3点あるうち最初の1点をアムステルダムで

名画
作者
フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年
1888年
所蔵
ファン・ゴッホ美術館
所在地
オランダ・アムステルダム

ファン・ゴッホが1888年10月にアルルで描いた油彩画。同じ構図の絵はアムステルダム、シカゴ、パリに3点あり、最初の1点がファン・ゴッホ美術館にあります。同館は日時指定のオンライン予約が必須で、当日券はありません。

《アルルの寝室》は、フィンセント・ファン・ゴッホが1888年10月に南フランスのアルルで描いた油彩画です。自分で家具をそろえた「黄色い家」の寝室を、平らな色面と傾いた壁で描きました。同じ構図の絵は全部で3点あり、その最初の1点がアムステルダムのファン・ゴッホ美術館にあります。

《アルルの寝室》とは

ファン・ゴッホ美術館での作品名は英語で「The Bedroom」、オランダ語で「De slaapkamer」です。作者はフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890年)、制作は1888年10月、アルル。技法は油彩・カンヴァスで、寸法は72.4×91.3センチ。作品番号はs0047V1962、カタログ番号はF482およびJH1608です。クレジット表記は「Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)」と定められています。

3点のバージョンがあります。1点目が本作(1888年10月、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館)。2点目は1889年にサン=レミで描かれたほぼ同寸の作品で、シカゴ美術館が所蔵します(73.6×92.3センチ、所蔵番号1926.417、241室で公開中)。57.5×74センチ(フランス文化省Joconde/POPおよびオルセー美術館の公式記載)

つまりアムステルダムの1点だけが1888年のアルルで描かれた最初の作品で、残る2点は翌1889年、サン=レミの療養院にいたときの描き直しです。シカゴ美術館の作品は公式サイトで241室に展示中と案内されています。3点はいずれもアムステルダム、シカゴ、パリと離れているため、細部の違いを一度に見比べる機会はめったにありません。

どこで見られる?

  • 所蔵先:ファン・ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)
  • 都市:オランダ・アムステルダム
  • 展示室:常設展示「ファン・ゴッホの傑作(Van Gogh's Masterpieces)」の中で公開されており、公式コレクションページには「Currently on view(現在展示中)」と明記されています。個別の展示室番号は公式には案内されていません。
  • 予約の要否日時指定のオンライン予約が必須です。チケットはオンライン販売のみで、当日窓口での販売はありません。開始時刻の入ったチケットがなければ入館できず、18歳未満の無料入館者や各種割引カードの保持者も時間指定チケットの予約が必要です。大人の料金は25ユーロです。

開館時間や入館料は所蔵館の公式サイトで確認してください。

見どころ3選

  • 本来は紫だった壁:美術館の調査によれば、いま青く見える壁と扉は、もともと紫色でした。現在の強い色の対比は、長い年月をかけた顔料の変色によって生まれたものです。
  • 傾いた奥の壁:奥の壁の角度が不自然に見えますが、これは描き間違いではなく、実際にこの部屋の角が歪んでいたためだと美術館は説明しています。
  • 影のない平面:ファン・ゴッホは弟テオへの手紙で、日本の版画のような絵にするために室内をあえて平らにし、影を省いたと述べています。遠近法が徹底されていないのも意図的な選択でした。

描かれた背景

1888年、ファン・ゴッホはアルルの「黄色い家」に移り、簡素な家具と自作の絵で部屋を整えました。美術館の解説によれば、この絵の明るい色は「完全な休息」あるいは「眠り」を表すために選ばれています。狭い部屋を描きながら、主題はあくまで安らぎでした。病から回復して自作を見返したとき、いちばんよいと思えたのがこの寝室の絵だった、と画家自身が書き残しています。

作品は1889年4月末、アルルから弟テオのもとへ送られました。テオの死後は妻ヨー・ファン・ゴッホ=ボンゲルと息子フィンセント・ウィレムが受け継ぎ、アムステルダム国立美術館や市立美術館に長く寄託されます。1962年にファン・ゴッホ財団へ移され、1973年の美術館開館とともに現在の場所に落ち着きました。

まとめ

《アルルの寝室》は、変色した色、歪んだ壁、省かれた影という「ずれ」ごと味わいたい作品です。3点あるうちの最初の1点はアムステルダムにあり、入館には日時指定のオンライン予約が欠かせません。シカゴとパリの2点と見比べれば、同じ部屋が三度描かれた意味が見えてきます。