府中市美術館:「春の江戸絵画まつり」で全国区、公園の中の心地よい美術館
府中の森公園に2000年開館。若冲や蘆雪、応挙らを個性的な切り口で見せる毎春恒例の「春の江戸絵画まつり」は、江戸絵画ファンが全国から集まる名物企画です。
はじめに:公園の中の市民美術館
府中市美術館は、2000年(平成12年)に東京・府中市の都立府中の森公園内に開館した美術館です。「生活と美術=美術の森の創造」を掲げ、市民に開かれた美術館として親しまれてきましたが、その名を全国に知らしめているのが、毎年春に開催される名物企画「春の江戸絵画まつり」です。公園の緑に囲まれた立地のため、展覧会の前後に散策や休憩を楽しめるのも魅力になっています。この府中の森公園は旧米軍府中基地の跡地に整備されたもので、隣接する府中の森芸術劇場とあわせて、多摩地域の大きな文化拠点を形づくっています。
春の江戸絵画まつり:江戸絵画ブームの立役者
「へそまがり日本美術」「ふつうの系譜」など、ユニークなテーマ設定で伊藤若冲、長沢蘆雪、円山応挙、さらには将軍・徳川家光の「ゆるい」絵までを紹介するこのシリーズは、江戸絵画の再評価ブームを支えてきた企画として高く評価されています。前後期で大幅な展示替えを行うため、2度通うファンも少なくありません。学芸員が書き下ろす図録の、読み物としての面白さにも定評があります。
コレクションと公開制作
収蔵品は、司馬江漢や亜欧堂田善ら江戸の洋風画から、日本の近現代美術まで幅広く集められています。館内には洋画家・牛島憲之(1900-1997)の記念館を併設し、遺族から寄贈された約100点をもとに、淡い光に満ちた独特の風景画を常設展示しています。また、アーティストが館内の公開制作室で実際に制作する「公開制作」プログラムも長く続けられており、完成した作品だけでなく、それができあがるまでの過程そのものを見学できます。市民が制作の現場に立ち会えるこの仕組みは、開館時に掲げた「美術の森の創造」という理念を、もっとも具体的なかたちで実践しているものだと言えます。
3つの見どころ
春の江戸絵画まつり:毎春恒例。若冲・蘆雪・応挙など人気絵師の作品に、意表を突くテーマで出会えます。
牛島憲之記念館:穏やかな色調の風景画で知られる牛島憲之の作品を常設展示しています。
公開制作:アーティストが館内で実際に制作する様子を見学できる、開かれたプログラムです。
施設情報・アクセス
住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
アクセス:京王線「東府中」駅から徒歩17分、または府中駅からバス「府中市美術館」下車
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(土・日曜と祝日にあたる場合を除く)、年末年始
観覧料:常設展は一般200円、大学・高校生100円、小・中学生50円。企画展は別料金です。

