グランド・ジャット島の日曜日の午後:点描で描かれた近代の休日

グランド・ジャット島の日曜日の午後:点描で描かれた近代の休日

名画
作者
ジョルジュ・スーラ
制作年
1884-86年
所蔵
シカゴ美術館
所在地
アメリカ・シカゴ

無数の色の点でパリ近郊の日曜日を描いた、幅3メートル超のスーラの代表作です。1958年を最後に館外へ貸し出されておらず、実物はシカゴ美術館のギャラリー240でしか見られません。近づいて点を確かめ、離れて色が溶けるのを味わう一枚です。

川辺の公園でくつろぐ人々を、無数の細かな点で埋め尽くした巨大な画面。ジョルジュ・スーラの《グランド・ジャット島の日曜日の午後》は、点描という新しい技法で近代都市の余暇を描いた作品です。幅3メートルを超えるこの絵は、シカゴ美術館のギャラリー240に常設展示されています。

《グランド・ジャット島の日曜日の午後》とは

原題はUn dimanche après-midi à l'Île de la Grande Jatte。シカゴ美術館では「A Sunday on La Grande Jatte — 1884」と表記されます。1884年から86年にかけて描かれた油彩・カンヴァスで、寸法は207.5×308.1センチ、所蔵番号は1926.224、ヘレン・バーチ・バートレット記念コレクションの一点です。画面の縁を囲む点描の枠は、1888年から89年に描き足されました。

舞台はパリ北西、セーヌ川に浮かぶ中州グランド・ジャット島。日曜日の午後に散策し、寝そべり、釣りをし、船を浮かべる人々が、階級を問わず一枚の画面に収められています。

どこで見られる?

  • 所蔵先:シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)
  • 都市:アメリカ・イリノイ州シカゴ(ミシガン・アベニュー沿い)
  • 展示室:ギャラリー240。ヨーロッパ近代絵画を集めた一角で、この大作のために一面の壁が確保されています
  • 予約の要否:入館券が必要です。当日券もありますが、公式サイトで日時指定チケットを事前に購入しておくと待ち時間を避けられます
  • 貸出について:館外に出たのは1958年のニューヨーク近代美術館への貸出が唯一で、以後は動いていません。実物はシカゴでしか見られない作品です

開館時間や入館料は所蔵館の公式サイトで確認してください。

見どころ3選

  • 離れて見ると色が混ざる:スーラは絵具をパレットで混ぜず、対比する色を隣り合わせに置きました。シュヴルールやオグデン・ルードの色彩理論をもとに、見る人の目のなかで色を混ぜ、より鮮やかな色を得ようとした試みです
  • 絵の縁まで点描:画面の外周に沿って、点描による縁取りが描かれています。額縁との境目で色が濁らないようにするための工夫で、複製では気づきにくく、実物を前にして初めて分かる部分です
  • 探して楽しい細部:紐につながれた猿、ラッパを吹く男、丸めた新聞を抱えた人物など、制作の途中で描き加えられた要素が画面のあちこちに潜んでいます

描かれた背景

スーラは制作にあたって多数の油彩習作と素描を重ね、いったん仕上げた画面に2年後ふたたび手を入れて輪郭を強め、人物を加えました。目指したのは、古代ギリシアの浮彫のような静けさをもつ近代生活の絵画だったといわれます。

作品は1886年、第8回すなわち最後の印象派展で発表されました。瞬間の光を素早い筆触で捉える印象派に対し、スーラは科学的な手続きで色彩を組み立てる道を示し、新印象派と呼ばれる流れを生み出します。なお当時使われた亜鉛黄の一部は化学変化で褐色に変わっており、現在の見え方は制作時と完全に同じではありません。

スーラ自身は1891年、31歳の若さで急逝します。点描の理論を突き詰めた画家としての活動期間はきわめて短く、その中心に置かれたのがこの一枚でした。作品はのちにアメリカのコレクター、フレデリック・クレイ・バートレットの手に渡り、亡き妻ヘレン・バーチ・バートレットの名を冠したコレクションとして1926年にシカゴ美術館へ入ります。以来ちょうど一世紀、この絵はシカゴの顔であり続けています。

まとめ

《グランド・ジャット島の日曜日の午後》は、理論と忍耐によって組み立てられた近代絵画の記念碑です。貸し出されないため、見るにはシカゴへ行くしかありません。ギャラリー240では、近づいて点を確かめ、下がって色が溶け合う瞬間を味わう、その往復こそが最大の楽しみ方になります。